「行政と実務者が連携して制度定着に取り組んでいこう」

新建築法制―現状と展望②

  1. 構造・設備分野の専門資格はどのように認定しますか
    1. 「みなし講習制度(施行前に実施した講習を法定講習とみなす仕組み)を活用する。構造分野、設備分野ともに6月から7月にかけて講義・考査を行い、構造/設備設計1級建築士を誕生させる考えだ」
  2. 設備設計1級建築士の不足が懸念されています
    1. 「そうした懸念に対応するため、4年以上の実務経験を備えた建築設備士が2008年度から1級建築士試験を受験できるよう告示改正するとともに、5年以上の実務経験があれば、1級建築士試験合格後、すぐに設備設計1級建築士の認定講習を受講可能とした」
  3. 建築設備士は1級建築士試験に合格できますか
    1. 「機械、電気の出身者が多い建築設備士は、設計製図の試験が合格の大きな関門になると聞いている。とはいえ、無試験で専門資格を認めることはできない。1級建築士はそもそも難しい資格で、建築学科の出身者でも合格まで何度も試験に挑戦する人がいる。一度不合格になったからといって、あきらめないでほしい。合格率を高めるために、設備設計の団体などが研修の充実などに取り組むことも重要となる」
  4. 業務報酬基準の見直し作業は進んでいるのでしょうか
    1. 「業務報酬にかかわる実態調査を3月末までに完了させ、その後分析作業に取り掛かる。告示第1206号の改定は、秋に中央建築士審査会で意見を聴取した上で、改正法の施行と同じ時期の11月末を見込んでいる」
  5. 4号特例(木造2階建てなど小規模な建物に対する構造計算の免除措置)の廃止が、現場に混乱を招くとの指摘もありますが
    1. 「2008年度の夏ごろから全国数百個所で中小工務店や設計者向けの講習会を実施し、周知の状況を見極めながら、施行時期を決める。改正法の施行日からは時期を遅らせる方針で、現場に混乱が生じないよう十分に配慮するつもりだ」
  6. 法施行を控え、建築関係者に訴えたいことはありますか
    1. 建築士は設計・工事監理の業務独占を持っている資格であり、責任が重い。建築士はその点をよく認識した上で、誇りを持って業務に当たってほしい。建築士を目指す者も同様だ。今回の法改正は、制度と実態の乖離(かいり)をすり合わせることが狙い。この思いを共有しながら、行政と実務者が連携して制度定着に取り組んでいこうということだ」