業務の体勢が円滑に組めない状況にある

自民党建築設計議員連盟へ_建築基準法及び建築士法に関して要望
国土交通省からは和泉住宅局長、小川大臣官房審議官(建築行政)、井上建築指導課長等が出席した。

  1. アチェック物件の半数強が2階建て以下
  2. アチェックの対象物件は非対象の2倍強の審査日数。
  3. アチェックを回避するため、構造計算ルート1での設計を志向する建築士事務所が6割近く。その結果、壁や柱が多くなるなど、使いづらく不経済な設計が増えている。
  4. 構造技術者は、設計者としてピアチェック対応に要する設計作業量の大幅な増加に加え、ピアチェック判定員としての業務、さらには学校耐震化(3年を期限とした時限法)促進のための耐震診断業務、改修設計業務も急増したため、満足な休みも取れないほど忙殺され、これらの構造設計、耐震診断等の業務の体勢が円滑に組めない状況にある。
  5. 国では、運用の改善策の一つとしてピアチェックを省略できる図書省略制度の認定を行ってきているが、これらの対応策は現実的にはほとんど実績がなく、効果が見られない。
  6. 高さや階数の低い建築物や小規模な建築物などについては、従来どおり確認審査のみで済ませることとし、ピアチェックの対象から除外していただきたい。
  7. このままでは設備設計の委託先が見つからないなど設計業務の停滞を来たす地域が生じる可能性が高く、景気後退下にあって、地域の設計活動を担う中堅事務所の死活問題に発展する恐れがあると認識している。
  8. 連合会としては、来年5月の施行に大きな懸念を持っており、必要な数の資格者が確保されるまでの施行の延期、あるいは設備設計には十分な技術を持つ者と認定され今日まで設備設計業務を実質的に担ってきた約33,000人の建築設備士の活用などを含め、制度の円滑な施行のための取組を強くお願いしたい。
  9. 報酬基準は、約30年にわたり建築技術の高度化、産業構造の複雑化等が進む中で、実態との乖離が進行している。
  10. 建築士事務所の業務が適正に行われるためには正当な対価が必要であり、特に法改正により業務量が増大したことから、この基準見直しの成果に大いに期待し、注目している。
  11. しかし、この基準は性格上強制力がないため、現実には基準の6〜7割での契約が大方を占めている。
  12. 連合会では、この基準の実効性の確保が極めて重要であると認識している。
  13. 国においては、この基準の見直しを確実に行うとともに、公共建築物の設計業務の発注にあってはこれを遵守する一方、民間等にあっては建築主に広く周知と理解を求めるなど、実効性を確保するための措置を講じ、その徹底をお願いしたい。