ここ数年は設計労務単価が下がり続けている
- 国土交通省は、予定価格の積算の際に使用する公共工事設計労務単価について、「公共工事設計労務単価あり方検討会」を立ち上げる。
- 労務費調査の改善や設計労務単価と支払賃金の関係などを検討する。
- 27日に初会合を開き、2008年度末にはあり方をまとめる予定だ。
- 設計労務単価は、農林水産省と国交省が毎年、10月に2省と都道府県、政令指定都市の公共工事で、51職種の労働者を対象に調査し、決定している。
- ただ、安値受注での取引実績が労務費調査に反映され、単価と予定価格が下落し続けるとの問題が提起されており、実際、ここ数年は設計労務単価が下がり続けている。
- 調査の賃金が実際に支払われているか、51職種が実態に沿っているかなどの問題も指摘されている。
- 自民党の雇用・生活調査会中小企業労働者問題プロジェクトチームも、現状を踏まえて位置付けや内容を検討するよう求めている。
- あり方検討会は、厚生労働省と農水省、国交省、建設業団体、建設労働者団体、積算・公共調達関係や労働法、労働経済関係の学識経験者で構成する。
- 初会合以降、当面はまず10月の労務費調査を視野に入れ、調査方法や内容の改善策を検討する。
- その後、▽設計労務単価と支払賃金の関係▽職種間・地域間の単価差▽労務単価の現在の活用状況▽単価の職種と実態――の検討に入る予定だ。
- 関係機関からの声を聞くため、業界団体や自治体などへのアンケートも予定している。
設計労務単価-改善策を幅広く協議、6月27日に有識者検討会/国交省ら
- 国土交通省は、公共工事の積算に使用されている「公共工事設計労務単価」(設計労務単価)のあり方や改善策を協議する有識者検討会を27日に立ち上げる。
- 同省のほか、厚生労働、農林水産の両省、建設業界団体、建設労働者団体、学識経験者らが参加する。
- 設計労務単価をめぐっては、現場労働者の賃金低下につながる単価の低下が続いていることへの懸念や、労務費が適正に支払われていないといった指摘が出ている。
- こうした現状も踏まえて設計労務単価の調査方法や位置付けなどについて幅広く検討する。
- 1〜2カ月に1度程度のペースで会合を開き、本年度末に取りまとめを行う。
- 設計労務単価は、公共工事の予定価格を積算する際に用いられるもので、▽基本給相当額▽基準内手当▽臨時給与(賞与など)▽実物給与(食事支給など)-で構成される。
- 現状では、51職種のそれぞれについて、各都道府県ごとに算出している。
- 公共工事などに従事する建設労働者への賃金支払い実態が単価の算出根拠となっており、毎年10月に調査を実施。
- 08年度の平均単価は前年度比1・5%低い1万6726円と、5年以上マイナス傾向が続いている。
- 検討会では、まず設計労務単価の調査方法について先行して検討し、改善の必要性などを詰める。
- 現行調査に追加すべき項目があれば、本年度に実施する調査に反映させ、必要なデータを収集する。
- 設計労務単価と実際に支払われている賃金との関係や、職種・地域間の単価差、設計労務単価の現在の活用状況なども調べる。
- 現在51職種としている分類が適切なのかどうかも、検討課題に挙がっている。
- 関係団体や地方自治体などを対象にアンケートも行い、改善の方向も含めて幅広く意見を聴取する。
- 設計労務単価は、あくまでも積算基礎データであり、下請契約の労務単価などを拘束するものとは位置付けられていないが、2次、3次下請の労働者賃金が、設計労務単価よりも低く設定されているのに加え、安値受注の影響などで賃金が引き下げられ、それが次年度の設計労務単価に反映されてさらなる賃金低下を招くといった悪循環が続いているとの指摘もある。
- 自民党も今年4月にまとめた「中小企業労働者問題に関する提言」で、設計労務単価のあり方を幅広く検討することを求めていた。