該当物件数を年間3000棟程度と見込んでいる

国交省/設備1級建築士の地域偏在、対応へ年内に受け皿/法適合チェックを受託

  1. 国土交通省は、今年11月施行の改正建築士法で創設される「設備設計1級建築士」の地域偏在が懸念されていることへの対策として、年内にも受け皿組織を立ち上げる。
  2. 法施行前に実施される「みなし講習会」の受講申し込み状況を見ると、受講者の大部分が大都市圏に集中し、地方の県によっては受講者が数人にとどまっているところもあるという。
  3. このため国交省は、技術者不足が懸念される地域で、建築設備技術者協会(JABMEE)などと連携して設備設計の法適合確認業務を受託する組織を設置する。
  4. 各地域の実情を踏まえながら具体化へ向けた詰めの作業を進める。
  5. 改正建築士法では、3階建て以上かつ延べ5000平方メートル超の建築物などを対象に、設備設計1級建築士による設計もしくは法適合確認の実施が義務付けられる。
  6. 設備設計1級建築士の創設は今年11月28日に施行され、法適合チェックなどの部分は、その約半年後の09年5月27日以降に設計される建築物から適用される。
  7. 国交省は、該当物件数を年間3000棟程度と見込んでいる。
  8. 設備設計1級建築士のみなし講習会には全国で5261人が受講を申し込んでおり、仮に受講者の大部分が認定されれば、総量としては必要な技術者数が確保できる計算。
  9. だが、地域による偏在が大きく、最も少ない県では受講申し込みが2人だけというところもあり、改正法が施行されても十分な実施体制を構築できない地域が生じる可能性がある。
  10. このため国交省は、当面の措置として、技術者不足が懸念される地域で、設備設計の法適合確認を受託する機関の設置を進める。
  11. 設備設計1級建築士の有資格者を非常勤の形で登録して法適合性をチェックするなどの方法を想定している。
  12. 建築着工の状況や、大規模建築物での設備設計業務の地元への発注状況などについて都道府県を通じて調査を進めており、その結果を踏まえて、対象地域や体制を詰める。
  13. 地域偏在対策の取り組みが先行して進んでいる地域もあり、静岡県では、「静岡県建築物安全確保支援協会」が5月22日付でNPO法人の認証を取得した。建築物の審査や設計支援、特殊建築物の定期報告などを支援する組織で、業務の一環として、設備設計1級建築士による法適合判定も実施する予定という。