適切な報酬が支払われていないという実態がある

工事監理業務ガイドライン/08年内策定へ具体検討/国交省

  1. 国土交通省は、工事監理業務の適正化に向け、2008年内にガイドラインを作成する。
  2. 建設省告示1206号の見直しで、設計業務と工事監理業務の線引きが明確化されることから、ガイドラインには告示を補完する内容を盛り込み、工事監理業務の実効性を担保する。
  3. 近く、ガイドライン策定検討業務を外部委託し、具体的な検討に着手する。
  4. ガイドラインは、11月28日の改正建築士法施行日までに策定し、設計事務所での活用促進や一般への周知を図る。
  5. 工事監理業務をめぐっては、一連の耐震強度偽装や欠陥住宅問題を通じて、適切に機能していない実態が明らかになったため、社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)は06年8月の答申で、方法や内容、業務範囲の明確化を求めていた。
  6. また、同審議会の基本制度部会は、07年12月にまとめた報告の中で、告示1206号で設計と工事監理業務の線引きがあいまいなことから、設計業務が優先され、結果的に工事監理業務が不十分に実施されていると指摘。
  7. 告示の見直しとともに、図書と工事の具体的な照合方法などを定めたガイドラインを策定すべきだとしていた。
  8. 1979年に策定された現行の告示は、建築士が設計の延長として工事監理も実施する前提で作成されていることから、設計と工事監理業務の線引きが不明確で、それぞれの業務で適切な報酬が支払われていないという実態がある。
  9. また、重要性、必要性に対する理解不足から、建築主が十分な報酬を支払わない結果、工事監理業務がおろそかになっているという制度の課題もある。
  10. 同省が近く委託する「工事監理業務に関するガイドライン策定検討業務」では、工事監理業務の実務に関する事例を調査した上でデータを類型化し、工事監理業務に関する標準的なガイドライン案を策定するとともに、建築関係者だけでなく広く一般への周知方法も検討する。