検査機関がチェック機能を果たしておらず

アパート施主、設計「偽装」と提訴へ 検査機関や県へ

  1. アパートの構造計算書が偽装されていたにもかかわらず県指定の民間確認検査機関が偽装を見逃したとして、本島中部のアパート経営の男性が同機関と県、建築業者と建物を設計した建築士を相手に建て替え費用など約1億1500万円の損害賠償を求める訴えを21日に那覇地裁沖縄支部に起こす。
  2. 原告代理人によると建物は2005年12月に完成した。
  3. 建築業者が建築確認申請時に提出した構造計算書は地上4階建ての建物として計算するべきところを地下1階、地上3階として計算するなどの偽装があったという。
  4. 構造計算書では設置することになっていた耐震スリット(地震時に柱と壁がぶつかり合って損傷しないよう設ける遊び部分)が実際の図面にはないほか、構造計算書よりも図面の方が床板が薄かったり、柱の横筋の間隔が広いなど構造計算書と図面との食い違いもある。
  5. 建築基準法施行令は震度5地震で損傷が生じない程度の安全性を満たしていなければならないと定めているが、このアパートは震度5地震に耐えられない恐れがあるという。
  6. 原告男性が建物引き渡し後に別の建築士に確認を依頼し、問題が発覚した。
  7. 原告代理人は、「指定確認検査機関は県内2カ所しかなく、ほかにも同様の事例が潜在している可能性がある」と指摘しおり、「構造計算書と図面を見比べればすぐに分かる誤りだ。検査機関がチェック機能を果たしておらず、指定機関とした県にも責任がある」と話している。