下請けからの価格交渉に親事業者が応じないケースが多い

経産省/適正な元下取引へ指針

  1. 経済産業省は、3月末をめどに建材・住宅設備産業の下請適正取引ガイドラインを策定する。
  2. 建材・住宅設備産業では、原油価格の高騰や改正建築基準法の影響を受け、従来にも増して下請けの立場が弱くなっていることから、ガイドラインを当初予定より前倒しして策定することにした。
  3. ガイドラインでは下請取引の優良事例(ベストプラクティス)を全面的に押し出すことで、適正な元下取引を促したい考えだ。
  4. 建材・住宅設備産業のガイドライン策定に当たっては、日本建材・住宅設備産業協会に調査業務などを委託しており、同協会が設置した委員会で具体的に検討を進めている。
  5. 委員会では、下請法に抵触するかコンプライアンス(法令順守)違反の可能性が高い取引の抽出や望ましい取引例、親事業者の指導力不足による影響などを把握し、不当な取引慣行の改善策をまとめる。
  6. 経産省は委員会の報告書を踏まえ、公正取引委員会などの関係機関と調整した上で、3月末をめどにガイドラインをまとめる。
  7. 建材・住宅設備産業では、原材料価格の変動に応じて、自動的に取引価格を変更する仕組みが一部で導入されているものの、下請けからの価格交渉に親事業者が応じないケースが多い。
  8. 手形期間が150−180日と長期にわたる事例もある。
  9. さらに、原油価格の高騰や改正建基法の施行に伴う建築着工件数の大幅な落ち込みにより、下請企業は「従来にも増して打撃を受けている」(中小企業庁)という状況にある。
  10. 経産省ガイドラインについて、「下請法に基づく明確な違反事例だけを示すのではなく、ベストプラクティスをより多く例示することで、適正な取引を促していきたい」(製造産業局住宅産業窯業建材課)としている。
  11. 下請適正取引ガイドラインは、既に建設業、自動車産業、素形材産業、産業機械・航空機、繊維、情報通信機器、情報サービス・ソフトウエア、広告の8業種で策定されている。
  12. 政府が20日に決めた、「年度末に向けた中小企業対策」では、下請取引の適正化を徹底するため、建材・住宅設備産業のほか、トラック運送業でも3月末をめどにガイドラインを策定することが盛り込まれている。