問題が多い建築士については建築確認を念入りに行う

東京新聞:脱縦割り 官民データベース 建築確認スピードアップ:社会(TOKYO Web)
 建築確認を担う自治体と民間の確認検査機関、国土交通省で構成する連絡協議会は、すべての新築建物や設計者など建築確認にかかわる各種情報を共有する「建築行政共用データベース」をつくることを決めた。国と自治体、民間が関係情報を共有する初の試みで、同省は「建築確認期間の短縮や耐震強度偽装などへの迅速な対応、欠陥住宅建設抑止効果が見込める」としている。

 データベースは五つのシステムで構成。全体の運用開始は三年後だが、完成したシステムごとに今年末から順次稼働させる。ソフト開発費など総事業費は約四十億円。

 一連の耐震強度偽装では、“縦割り建築行政”の弊害が問題化した。一級建築士の登録や処分は国だが、二級建築士設計事務所の登録、処分は都道府県。それぞれが行う行政指導や処分情報などを他の行政機関に伝える仕組みさえなかった。

 建築士法の改正で、昨年六月から違反建築物などの設計者は公表されるようになった。しかし全国の建築確認の担当者がそれらを掌握するのは困難だった。

 五システムのうち今年末に最初に完成・稼働予定の「建築士設計事務所登録閲覧システム」は、建築士の設計実績や行政処分歴の有無、講習履歴を網羅。自治体や検査機関の担当者は、知らない建築士設計事務所でも一から調べる必要がなくなる。問題が多い建築士については建築確認を念入りに行うなど弾力的な審査が可能になる。

 また、自治体の建築基準法台帳を収録するシステムは、一九九九年以降の新築建物の概要や設計者、建築主、施工業者、違反の有無などの情報を永久保存する。将来的には、五システムに加え、耐震性や防火、防音などを住宅性能評価機関が任意で評価する制度の情報とのリンクも考える。

 耐震強度偽装問題の発生時、国交省は強度を偽装した建築士や強度不足のマンションやホテルを手がけた建設会社、販売会社などの物件の洗い出しを各自治体に指示。台帳をめくる膨大な作業で、全容判明に数カ月を要した。この反省からデータベース化構想が浮上。完成後は、日本中の建築確認現場で、必要な物件リストなどを迅速に掌握、対処できる。

建築行政共用データベースシステム連絡協議会−財団法人 建築行政情報センター
。oO( 建材などに埋め込まれるICタグにも情報が記録されるなど、全ての情報がリンクされて行くのだろう。確認申請書や建築士事務所の年次報告書に記述される各建築士の実績もリンクされ、受験資格の確認や、新たな仕事の参加の際の各建築士の評価にも使われるだろう。建築士免許証も携帯型も用意される事に成ったが、そのICチップにも記録される訳だが、その内に人体にICチップが埋め込まれるのだろうか。ユーロ紙幣にはICチップ。全て電子決済と成れば、建築に限らず各権利関係や税務や各手続など全てリンクされ、その情報があるserverで管理され、そのserverを管理する者が支配者と成るのだろうか。

東京新聞:【関連】『住宅寿命』後押しも 共用データベース 情報漏れ防止策必要:社会(TOKYO Web)
<解説> 国と自治体、民間が建築確認関連情報を集約してつくることが決まった「建築行政共用データベース」は、都市計画図も取り込み、建物が面している狭い路地の現地調査資料を含む道路情報を地図付きで表示するという。景観保護や密集防止などの地方条例や、防火地域、容積率といった個別の建物にかかる立地規制についても簡単に把握できるようになる。

 こうした業務負担軽減策のほか、福田康夫首相肝いりの「二百年住宅構想」の実現や、中古住宅市場創出も見据えているのが今回の取り組みの特徴だ。約三十年と欧米に比べ短い日本の建て替えサイクルで、大量の産業廃棄物となる住宅の寿命を延ばす上でもデータベースは役立つからだ。

 二百年持つ耐久性や耐震性の確保には、構造部分の定期補強が不可欠。内装や間取り、電気配線の変更など、改修しやすさも求められる。だが、補強・改修時に必要な設計や工法、改修履歴を管理する制度は未整備だ。国交省は、これらの情報を記録する「住宅履歴書」をつくり、保管する第三者機関の設立を計画。データベースを履歴書に活用できるとみている。

 また、中古物件の台帳閲覧のため遠隔地の自治体に出向く手間を省こうと、個人情報などを除き一般からデータベースにアクセスできる運用も検討。中古住宅の売買促進を後押ししたい考えだ。

 しかし、間取りなどの情報が外部に漏れると犯罪に悪用される危険がある。一方、耐震強度偽装では、建築確認の構造計算書類の提出を一部省略する国の制度が悪用された。国認定ソフトによる構造計算で耐震強度が偽装され、自治体や検査機関はそれを見抜けず、被害を広げた経緯がある。

 偽装を防ぐ新ソフトの開発は昨年六月からの建築確認厳格化に間に合わず、住宅着工が激減。官製不況と批判された。審査期間短縮への寄与が期待されるデータベースだが、情報流出やシステム障害が起きれば、全国の建築確認現場が再び混乱しかねない。耐震強度偽装への対応にもたついた記憶が新しいだけに、建物の安全性に加え、データベースの運用にも万全の「安全策」が求められる。

。oO( 人は信じずデータを信ずる