提 案 書

改正建築基準法施行後の状況改善へ向けて提 案 書|JIA

  1. 今回の改正の趣旨にとって、設備機器の記載はその作業が設計期間や設計費用を圧迫することに見合うとも考えにくく、この部分を極力省力化することにより、申請図書作成期間を短縮化することの効果がはるかに大きいと思われる。
  2. なるべく多くの物件で適合性判定機関との事前協議を可能とすることで申請期間の長期化を抑制することができると考える。
  3. 少しでも良い建築物とするために工事中においても小さな設計変更を行うことは、現在の建築生産プロセスの中では常態化しており、建築主にとっての重要な権利となっている。簡易な変更にかかる確認審査の進め方を、明確に定めることが望まれる。
  4. 住宅においては従来混構造の建物が多く、今回の改正ですべて適判にまわり、確認が長期化している。当該設計事務所とは異なるピアチェック設計事務所のレビューを添付すること等により、確認のみでOK とするような緩和措置を設けるべきと考える。
  5. 超高層建物にEXP.J を介して接続された低層建物の場合、改正前は別々の構造計算方法が認められたが、今回の改正では同じ構造計算方法(時刻歴応答計算)とするように指導されている。これでは、簡単な改修に関しても膨大な作業が必要となり、建築主への負担が大きい。協議の結果、別々の計算方式とすることで認められた事例もあり、改正前と同様の取扱いとすることを統一的に認めていただきたい。
  6. 6 月20 日以前の建物は現行法では既存不適格となり、増改築等の実施が困難と指導されているケースも報告されている。
  7. 建築確認申請書に添付する安全性証明書において、構造設計者個人(設計事務所名でなく)の住所を標記することが求められたケースもあると聞いているが、建築物の設計責任を明確化するという観点からは、担当者個人の住所を記述させることは行きすぎと思われる。
  8. 設計者の責任という点では、契約者としての責任と資格者としての責任を明確に分離する必要がある。元請として建築設計事務所が契約したときは、民事的に一切の責任は元請事務所が負うが、構造、設備を分離発注された場合には、それぞれの専門領域において責任を負うこととなる。(分離発注した場合にはクライアントがその瑕疵の所在を明らかにしなければならない。)しかし資格者としての責任はあくまでのその専門(意匠、統括)と構造・設備とは異なる職能領域を持ち、それぞれの領域において責任を問われるべきである。したがって、確認申請図書に一括発注か分離発注かの契約関係を明記すべきである。