人間とシステムの両面から現場の施工状況をチェック

国交省/建設事業の生産性向上へICT活用/来年度試行へ検討本格化

  1. 国土交通省は、情報通信技術(ICT)などを活用して建設事業の生産性向上を図る総合的な取り組み「ビジネス・プロセス・リ・エンジニアリング」の実現へ向けた本格的な検討に乗り出す。
  2. 3次元データを用いて設計時の工夫のノウハウや施工段階の課題などを関係者間で共有することや、人間とシステムの両面から現場の施工状況をチェックする仕組みの構築などを想定している。
  3. 国交省は、工事現場での試行的な取り組みを繰り返しながら、課題を精査していく。
  4. 来年度にも試行工事を行う方針で、建設業界と連携しながら具体化を図る。
  5. イメージとしては、企画・設計段階で、構造上工夫した点や施工時の作業ヤードの取り方などを説明できるような3次元データの設計図をつくる。
  6. 施工段階では、発注者、設計者、施工者の3者が、このデータを使って互いの方針などを伝え合い、認識の共有化を図る。
  7. 現場管理では、設計図での位置情報や数量情報と、実際の現場の状況が適合しているかどうかをICTを利用して瞬時にチェックできるようにする。
  8. 人間とシステムの両方で確認し、ミスの防止にもつなげる。
  9. こうした現場のデータやチェック結果を施工者と発注者が共有できれば、元請施工者が発注者に提出する書類などを減らすことにもつながる。
  10. 元請施工者の本社技術部門などにも同様のデータを送り、施工現場とは違った視点からリスクのチェックを行うことも可能になる。
  11. 構造物や公共施設にあらかじめICチップを埋め込んでおき、地震発生時や老朽化による損傷などをリアルタイムで確認できるような仕組みを構築することや、建設労働者の安全性向上への活用も検討課題としている。
  12. 国交省は、こうした取り組みを進めることで、ゼネコンの現場担当者などが時間的余裕を生み出すことができれば、現場に出る時間が増えて品質向上につながるとともに、労働条件の改善も期待できるとみている。
  13. ただ、データ作成などが目的化して実務者の作業がかえって増えてしまうことや、データ至上主義に陥るといった懸念もある。
  14. このため、現場で実際に試行錯誤しながら、発注者・受注者の双方の負荷を軽くする手法を模索する考え。

。oO( 人よりカネの世の中では新たな技術はカネ儲けの手段と成るだけで人の労働条件の改善には成らないような