施工企業は関係の変化による収益悪化に直面している

BCS/設計施工一括契約のモデル約款改正/工事監理まで一度の契約手続きで

  1. 建築業協会(BCS、野村哲也会長)は民間建築工事の設計・施工一括契約に用いるモデル約款を改正した。
  2. 設計・施工の一括受注を2段階で契約するこれまでの方式に加え、工事監理を網羅して設計施工の契約を一度に結ぶ方式でも約款を作成したのが改正のポイント。
  3. 建築士法などの法制度改正や民間(旧四会)連合協定工事請負約款の見直しに対応し、関連する条項なども記載内容を改めた。
  4. BCSは、改正した約款や契約書などをホームページ(http://www.bcs.or.jp/)で紹介。
  5. 適正な契約締結に向けて広く利用を呼び掛けていく。
  6. BCSによると、大手・準大手クラスのゼネコンでは、民間建築工事のほぼ半数を設計・施工一括で受注し、年を追うごとにその割合は高まっている
  7. BCSは01年5月に設計・施工一括受注を対象としたモデル的な契約約款を作成。
  8. 契約をめぐるトラブルの回避などを目的に、会員企業などに利用を呼び掛けていた。
  9. 従来の約款は、設計業務の契約を中心とした「設計施工基本契約約款」と施工契約を中心とした「設計施工一括契約約款」の二つで構成。2段階で契約を結ぶ方式に対応する形となっていた。
  10. 今回の改正では、会員会社の要望に応え、一度の契約手続きで設計から施工、工事監理までを網羅する方式で、新たに約款と契約書を作成。従来の2段階契約方式も残し、二つの方式で約款と契約書のモデルを示した。
  11. このほか契約を結ぶ際に作成する仲裁合意書や設計などの業務表も、関連する制度改正などに対応して改正。法定検査に関する項目の追加など内容を修正した。
  12. 新しい約款、契約書、仲裁合意書、設計等業務表はホームページからダウンロードできる。
  13. 改正前の約款などは01年5月に作成・公表したが、2段階契約方式だけを取り扱っていたことなどを理由に、実際の契約で使用されるケースは必ずしも多くなかったという。
  14. BCSは、設計・施工一括受注が増加傾向にあることから、「一括契約約款の必要性は高まっている」とみている。

監理含め設計施工一貫方式/BCSが約款見直し

  1. 建築業協会(BCS、野村哲也会長)は、受注者が工事監理業務まで引き受けることを盛り込んだ新たな約款と契約書などを柱とする『BCS設計施工契約約款 2008年改正』を公表した。
  2. 改正は、大手・準大手企業を中心に民間建築で設計施工比率が4割以上にまで高まっている半面、従来の設計施工契約約款が使われていない現状が背景にある。
  3. 公共工事でも設計と施工の役割分担のあり方が議論されるなど、これまであいまいだった関係を明確にする動きが出始めていた。
  4. 改正の最大の特徴は、従来の約款が「設計施工一貫方式」でも、設計中心と、施工中心の2つの契約約款で構成されていた2段階契約方式しかなかったのに対し1つの契約(1本契約)で済む約款を創設したことだ。
  5. 1本契約では、従来の設計施工一貫方式で工事監理業務を受注企業以外の設計事務所などが行うケースもあったが、受注者が工事監理業務を引き受けることを明記した約款・契約書となっている
  6. ただ、1本契約の場合でも、契約締結に先行して設計業務が行われているため、「建築士法に定める書面の交付と、業務・解除措置の取り決め、設計契約書または発注内示書・承諾書などの契約締結が必要」と注意喚起を改正約款に盛り込んでいる。
  7. BCSは01年に、設計施工基本契約約款と設計施工一括契約約款の2つの約款で構成する「BCS設計施工契約約款」を作成・公表していたが、建築業法や建築士法などの法改正や07年に民間(旧4会)連合協定工事請負契約約款が改正されたことを受け、改正に踏み切った。
  8. 民間建築の場合、設計施工一貫やCM(コンストラクション・マネジメント)など多様な発注形態が拡大している。
  9. 施工企業は、発注者・設計者、設備企業、専門工事業との関係の変化による収益悪化に直面しているほか、それぞれの役割の明確化が求められていた
  10. そのため、今回の約款改正も、ゼネコンの契約重視社会に対応する流れの一環とも言えそうだ。

BCS設計施工契約約款(2008年改正版)について
。oO( 設計施工一貫方式とは、施工会社が施工のための設計をし、その施工を自ら工事監理するというもの。6.20で社内に於いても設計と施工と工事監理其々に契約が必要と成った。元々名実共に真に設計と施工が分離された形態は希少な事。設計事務所の存在自体がよく知られていないため、設計事務所は建設会社などからの紹介であったり下請の存在。建築主の立場で仕事をするのが設計事務所であるが、設計事務所は建築主から遠い存在と成っている。汎用では無い特別な施工技術を必要としている場合を除き、設計と施工を分離する事で相見積を取り競争原理で施工費を節約出来るなど有益だが、設計事務所は特別なデザインをする所、確認を取る所、図面を起こす所などと思われていて、その役目や本来の立場を知られていない。設計施工の場合は設計の内容が各社違うため比較が出来ないという意味で相見積は成立しない。必ずしも設計と施工が分離される事が良いという事でも無いが、設計事務所が有効に使われていない事が多い。