大手建築設計事務所が人材採用を積極化
大手設計事務所/新卒採用に積極姿勢、構造・設備の技術者確保/本紙調査
- 大手建築設計事務所が人材採用を積極化させていることが、日刊建設工業新聞社のアンケート調査で分かった。
- 今春入社の新卒採用は調査対象15社で計240人と、昨春の実績を約13%上回った。
- 建築基準法や建築士法の改正で業務量の増加が見込まれる構造と設備の技術者を確保する傾向が顕著になっている。
- さらに設計の最終品質を担う監理者の不足を補うなどの目的で中途採用を積極化する姿勢も目立つ。
- 今春の新卒採用を増やしたのは15社中10社。
- 中でも日建設計の採用人員は前年度比約27%増の56人と最も多くなった。
- このほか日本設計が27人(前年度比12・5%増)
- 三菱地所設計が16人(同14・2%増)など計10社が2けたの新卒採用人員を確保した。
- 採用増の理由には、「業務量の増大および業務範囲の拡充」(久米設計)、「業務量の増加」(三菱地所設計)などを挙げる事務所が目立つ。
- 今春の技術系新卒採用人員の内訳(15社合計)は、
- 意匠系128人(前年度比6・6%増)
- 構造系30人(同36・3%増)
- 設備系38人(同40・7%増)
- その他26人(同23・8%増)
- 「若手設備設計者の人材不足」(昭和設計)などが増加理由として挙がっており、各社が業務量が急増傾向にある構造と設備の技術者の増員に動いている様子がうかがえる。
- その他の分野では、都市計画系、工事監理・積算、インテリア系などが挙がった。
- 来春の新卒採用も今春と同様の高水準となる見通しで、08年度比で大建設計は9人増、日本設計は8人増、山下設計は7人増を予定している。
- 技術系の内訳では、構造と設備の採用が08年度を上回る見込みだ。
- 一方、即戦力を期待した中途採用は、07年度は15社合計で前年度比約15%増の194人。中でも構造技術者の採用人員が伸びた。
- このほかに、工事監理や積算、工務など現場に近い業務分野でも中途採用を増やした事務所が多い。
- ある事務所の採用担当者は「監理や積算などの業務を若い人が志向していないのは事実」と話しており、新卒採用の増加と並行して、工事監理などの技術者不足はキャリア採用でしのぐといった構図も見て取れる。