『名管は黙認している、大丈夫』

愛知万博迫り開業へ暴走 名古屋のイタリア村条例違反

  1. イタリア村側が最初に条例違反を把握したのは、オープンが約半年後に迫った2004年秋。
  2. 強い焦りが違反建築へと暴走させた実態が、関係者の証言で明らかになってきた。
  3. 一方で、「当時は名古屋港管理組合も違反を黙認していたはずだ」との不満もくすぶっている。
  4. 「こんなむちゃくちゃな話、通るはずない。そう思ったが、強制的に納得させられた」施工業者の幹部はこう主張する。04年12月中旬、イタリア村関係者や業者が集まった緊急会議。出席したこの業者幹部によると、違反のまま木造で建築する方針はここで固まったという。
  5. イタリア村は愛知万博の開催に合わせ、05年4月オープンが大目標。
  6. ところが、着工前の諸手続きが本格化していた04年秋になり、名管から設計事務所に条例違反の指摘があったという。
  7. 緊急会議時は既に1億円近い木材一式をカナダへ発注済み。
  8. 一方、木材に代わる鉄骨は愛知万博の建設ラッシュの影響で確保できない可能性が高かった。
  9. 別の出席者は「イタリア村側からは『何が何でもオープンする』と言われた」と話す。
  10. 一方、イタリア村の前社長(50)は「私自身は今回の問題が報道されるまで条例違反を知らなかった。当時、違反の事実を知らされていたなら鉄骨にした」と強調。「既に材料を発注した業者側が、私に報告しなかった可能性がある」と話す。
  11. 今回の問題が発覚したのは名管が今年2月、文書で問い合わせたのがきっかけ。
  12. しかし、イタリア村などの関係者からは「名管側も気付いていたはず。なぜ今ごろになって」と不信感が漏れる。
  13. 村は名管の公有地などを借り、民間が独自に事業を展開するPFI事業として経営されている。
  14. 施工会社の幹部は「名管側は違反を指摘後、建築中に何度も現場に来ていた。木造に気付かないはずがない。現場は『名管は黙認している、大丈夫』と思っていた」。
  15. イタリア村の親会社の幹部も「名管は実態が木造であることを十分認識していたはずだ」と話す。
  16. 名管の藤原克己・総合開発担当部長は「木造とは知らず、申請通りの鉄骨と認識していた。こちらに建築中の建物の構造を確認する責任はないし、見ることもない。イタリア村や業者の責任転嫁だ」と反論している。