条例の存在に気付いていなかった
- 名古屋市港区の商業施設「名古屋港イタリア村」をめぐる建築条例違反問題で、設計事務所側も、違反の木造のまま着工されたことを当時から認識していたことが分かった。
- 一級建築士の事務所代表が、取材に「建築中も『誰かに見つからなければいいが…』と思っていた」との心境を明かすとともに、実際の設計は施工業者が行っていたとして“名義貸し”も認めた。
- 市は建築士法に違反する疑いもあるとみて、関係者に事情を聴いている。
- イタリア村の建築確認申請によると、設計者は名古屋市内の2つの設計事務所による共同体。
- 取材に応じた同市南区の事務所代表によると、名古屋港管理組合側からは着工前の2004年10月から11月にかけ、市条例違反の可能性を指摘された。
- それまで条例の存在に気付いていなかったという。
- この指摘を受け、名管に提出した申請書類を「木造」から「鉄骨」に修正、再提出した。
- しかし、当時は05年4月のオープンに間に合わせるため、材木を海外へ発注するなど、既に準備が動き出しており、イタリア村側は木造による建築を強行したという。
- 設計事務所の代表は「イタリア村側から『なぜ条例を知らなかったのか』などと責められかねず、なあなあになってしまった。契約額が大きく、背に腹は代えられない事情もあった」と釈明。
- 「建築中は表ざたにならないか、恐れていた。オープン後もイタリア村側に鉄骨での建て替えを望んでいた」と話す。
- 条例違反の14棟は04年初めごろは、1つの大型施設を建設する構想で同事務所が設計を担当することになっていたが、その後、事業費を抑えるなどの目的で木造の14棟に変更。
- 14棟の実際の設計は、施工を担当したイタリア村の関連会社が担当し、同事務所は別の施設の設計などをしたという。
- 一方、申請上は設計の共同体に加わっている別の建築事務所(名古屋市東区)は「取材には応じられない」としている。