瑕疵担保責任 債務不履行責任 不法行為責任

欠陥マンション訴訟を根本から変える!? 画期的な最高裁判決|マンション管理新時代

  1. 2000年に成立した建築物品質確保促進法(品確法)では、瑕疵担保責任を追及できる期間について「建物の主要構造部と雨漏り」について10年、それ以外は2年としています。新築マンションであれば、引き渡しを受けてから10年以内であれば、瑕疵を知って1年以内に分譲会社に損害賠償請求できます。しかし、10年を過ぎてしまえば、瑕疵担保責任を追及して損害賠償請求することはできません。
  2. 不法行為責任を問える期間はもっと長く、20年あります。建物の完成・引き渡しから20年以内に瑕疵の存在を知り、それから3年以内であれば責任追及や損害賠償請求ができる
  3. 二審の福岡高裁が「瑕疵担保責任で律せられる分野において、安易に不法行為責任を認めることは、法が瑕疵担保責任を定めた趣旨を没却する」と判示
  4. 今回の最高裁判決はそうした見えない殻を破って、不法行為責任が認められるハードルを大幅に引き下げた
  5. 「建物の基本的な安全性」は「建物の基礎や建物く体に瑕疵がある場合に限られない」という今回の判決文の文言には、品確法を超える意思がはっきり読み取れます。利用者の生命を危険にさらすのであれば、バルコニーのぐらつく手すりであっても「基本的な安全性」を満たさない瑕疵であり、その瑕疵を生じさせた関係者を不法行為責任で追及できると言っているわけです。品確法は形無しです。
  6. 不法行為責任が認められる以上、直接の契約関係にない者でも設計者や施工者に対して損害賠償を請求できる
  7. 不法行為責任」です。これは当事者間の契約関係の有無を問いませんが、責任を追及する側は相手方の過失について立証しなければなりません。このハードルは高く、福岡高裁判決が言うように「瑕疵の違法性の強さ」も問題にされてきたため、これまでの欠陥住宅訴訟ではあまり認められてきませんでした。ところが今回の判決で最高裁は、違法性の強さには関係なく、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合はこの3つ目の「不法行為責任」が成立する、と言い切った。