原告らは不正行為と無関係な立場とは言えず、県に責任を追及するのは相当ではない

この判決は神田順さんの(姉歯訴訟判決に思う)の見解と同じ。不正な申請をした者には損害賠償を求める立場には無いという判決。一方でマンション建設販売会社は被害者でもあるという正反対の見解も裁判所は示している。もし建築主も被害者ならば、建築確認や建築士制度など一連の建築行政全般に対して損害賠償請求出来る立場だと見なされるのだろうか。平松朝彦さんはこの姉歯事件の裁判は(この国の根本である憲法の問題に繋がる)という見解を示されている。
建築確認の審査形式について
審査形式は行政が決めている事で、行政はその自らが定めた形式に従い審査をする。行政の都合に合わせるように、ある審査形式を定めるのだろうが、法適合していなければ成らないはずの審査が、結果的に法不適合でも、この形式に従ったもので過失も責任も無いと行政は言う。今回の判決もそれで良いと。何のための形式だろうか。

耐震偽装で県への訴え棄却

  1. 15日の判決で前橋地方裁判所小林敬子裁判長は「不正な構造計算書の申請をしたのは原告の代理者であるなど原告らは不正行為と無関係な立場とは言えず、県に責任を追及するのは相当ではない。建築確認は申請書にもとづいて違法性がないか形式的に審査すれば足りるもので、県の違法性は認められない」などとして原告の訴えを退けました。

耐震偽装でホテル一時休業、建築確認した県の賠償責任認めず

  1. 小林敬子裁判長(内藤正之裁判長代読)は訴えを棄却した。

耐震偽装訴訟、群馬県への損賠請求棄却 前橋地裁

県の建築確認は合法=耐震偽装でホテル側敗訴-前橋地裁

  1. 小林敬子裁判長(内藤正之裁判長代読)は「県の建築確認に違法性は認められない」として請求を棄却した。
  2. 小林裁判長は「建築主事が行うべき審査は尽くされている」と指摘し、原告側の「建築主事が設計士らに、構造計算書に使用したプログラムの確認などを怠った」との主張を退けた。

耐震偽装、群馬県の違法性認めず 司法判断割れる

  1. 小林裁判長は「県の建築確認は、設計が関連する規定に適合するか形式的に審査すれば足りるもので、今回も審査が尽くされていた」との判断を示した。
  2. 今年2月の名古屋地裁判決は、行政の役割について「危険な構造物を出させないための最後の砦(とりで)だ」としたうえで、設計上の問題を突き詰めなかった愛知県の過失を認めている。