なぜ日本の住宅ストックは低質で耐久性に優れていないのか?

文部科学省で、社会科学研究課題の募集を行い、44機関から56件の応募があり、4件の採択を決定した。
平成20年度「近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業」の採択課題の決定について
採択数4件のうち、一橋大学から2件が採択された。
「近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業」に本学から2件が採択されました
その2件の内の一つに、経済学研究科 齊藤 誠教授の「高質の住宅ストックを生み出し支える社会システムの設計」がある。(責任機関:一橋大学。申請額:125,000千円。実施予定年度:平成20年度〜24年度) その内容を一部抜粋。

http://www.jsps.go.jp/j-hs/data/saitaku/saitaku_data01.pdf
なぜ,日本の住宅ストックは低質で耐久性に優れていないのか?
どうすれば,高質の住宅ストックを生み出し,支えることができるのであろうか?
[なぜ: 建築士の規律が低下するのか?]

  1. 検証: 建築士の専門性に見合ったチェックシステムがない。
  2. どうすれば?: 同業者間のピアレビューを導入。

[現状認識]

  1. 現行のシステムでは,住宅ストックに関わるリスクが住宅購入者にしわ寄せされている結果,建築業者,不動産会社,金融機関,建築士に住宅性能を向上させるインセンティブが働きにくい。

[提案する制度設計]

  1. 住宅性能に影響するさまざまな制度を以下の観点から総合的に見直す。
    1. 金融契約における責任と危険(リスク)の適切な配分
    2. 集合住宅の所有形態の見直し
    3. 中古住宅市場の情報基盤の充実
    4. 建築基準への緩やかな誘導
  2. 評価能力,管理能力,財務負担能力の高い建築業者,不動産会社,金融機関,建築士から,住宅性能向上に向けてのインセンティブを引き出す。

日本の住宅性能向上を阻むのは/一橋大が実証分析に取り組み

  1. 例えば建築士の規律については、専門性に見合ったチェックシステムがないことが要因なのかを検証、多角的に分析し、同業者間のピアレビューの導入などを検討する予定。
  2. 研究成果として提案する制度は、住宅市場のイノベーションを支える基盤の形成に役立ててもらいたい考え。

私のコメント: ただ建築技術者の使い方が間違っているだけではありませんか。建築の品質に対して常に高いインセンティブを持ち合わせているのが建築技術者であり、そうで無ければやってられません。そのインセンティブを生かすも殺すも建築技術者を使う者次第。何も難しい事は有りません。