再考査実施の可能性が高い

再考査実施を検討/構造・設備一級みなし講習/国交省

  1. 国土交通省は、11月28日に施行する改正建築士法で新設される構造設計一級、設備設計一級の両建築士を法施行前に一定数確保するため、建築技術教育普及センターが実施している「みなし講習」の再考査を実施する方向で検討に入った。
  2. 同省幹部は、「考査の結果、合格率が低ければ改正法施行までに再考査を実施する」との考えを示しており、考査結果が公表される9月11日から法施行日までの間に実施日を調整する見通し。普及センターは、「最終的な判断は考査結果が出てから決める見通しだが、かなり(実施の)可能性が高い」としている。
  3. みなし講習は、法改正に伴う新たな制度を円滑に運用するための準備行為の一環で、改正法施行前に一定数の有資格者を確保することで、両建築士による適合性確認がスタートする2009年5月末以降の混乱を未然に防ぐ狙いがある。
  4. 再考査のスキームについては、不合格だった科目の講習を再度受講させるのかなどの条件設定を検討している段階で、具体的な内容は今後固める。
  5. 普及センターによるとみなし講習の申し込み数は、構造設計一級が約1万2200人、設備設計一級が5000人弱で、「実受講者数は集計していないが、ほぼ申込数を同数」としている。
  6. 建築士のみなし講習はともに2日に終了しており、設備は13日に修了考査が実施され、構造は20日に予定されている。
  7. 同省は1日にまとめた修了考査ガイドラインで、両建築士の考査内容を多肢選択式または記述式で構成するよう求めている。
  8. 同省は、考査のレベルについて「実務経験をベースに法的適合性確認の能力を問うため、それなりの能力が求められる」(住宅局建築指導課)としており、考査の合格率には不安も残る。
  9. 建築士をめぐっては、改正法案の国会議論でも必要数の確保が制度運用の大きな課題として取り上げられた。
  10. 国交省の試算によると、年間に両建築士の関与が必要になる建築物は構造が約6-7万棟、設備は約3500棟ある。
  11. 国交省は、これまで両建築士による法適合確認への対応は十分可能と主張してきたが、9月11日に予定されている考査の結果次第では、新たな対応を求められそうだ。