「児童が立ち入ると聞けば、他校と同様に天窓に手すりや柵を必ず設置した。残念だ」
- 同校校舎の設計をした1級建築士の男性(77)が20日、朝日新聞の取材に「当時、学校側から屋上に児童は立ち入らないと聞かされていた」
- 校舎は86年に完成。
- 建築士によると、その数年前の設計打ち合わせの際、区教委や学校の担当者が「3階屋上への児童の立ち入りはない」と話したという。
- 建築士は「授業で使うと知っていれば、さくを設けるなど天窓に近づくことが出来ない措置をとった」と話す。
- 同校の2階屋上ベランダにも天窓があるが、近づけないようにさくがある。建築士は「『洗濯物を干すため、立ち入るかもしれない』と学校側から説明を受けたので、さくを設置した」と話す。
- 区教委の担当者は「当時のやり取りは分からないが、屋上にフェンスがないことなどから、建築士の証言は理解できる」
- 校舎を設計した建築士が20日、毎日新聞の取材に応じ「屋上には児童が立ち入らないと区教委側から何度も説明を受けたので、天窓の周囲に安全柵を設置しなかった」と証言した。
- 証言したのは建築設計事務所「アルコム」(世田谷区)1級建築士、船越徹さん(77)。小学校や高校など10校以上の校舎設計を担当したという。
- 船越さんは83年、区教委担当者との打ち合わせで「屋上は鍵をかけて管理するので児童は出入りしない」と説明を受けた。
- 屋上立ち入りは学校建築上の重要ポイントのため、念押ししたが答えは同じだった。
- ところが今回の事故で、屋上を授業で使用していたことを知って驚いた。「児童が立ち入るなら柵を作ったのに」
- 天窓を設置したプラスチック製造販売メーカー(中央区)によると、天窓のアクリル製の覆いは約750キロの荷重に耐える設計だが「人が乗り1点に力が集中すると壊れる可能性がある」強度は10年で約1割劣化するため、ホームページで防護柵や天窓内側の下に落下防護ネットを設置するよう求めていた。
- 同小には、屋外にせり出した2階屋上にも天窓が5基あるが、児童が出入りすると聞いたため安全柵(高さ約1.2メートル)を設計した。
- 船越さんは「児童が立ち入ると聞けば、他校と同様に天窓に手すりや柵を必ず設置した。残念だ」
- また東京消防庁は20日、天窓を突き破って転落する事故が05年4月以降の約3年間で、都内で15件発生したと発表した。けがをした15人のうち11人が12歳以下だった。