小規模案件がむしろ問題

規制強化の余波-改正建基法施行1年・1/着工低迷、景気減速要因に

  1. 「昨年7、8月に建築着工が落ち込み、9月にはもっと悪くなった。大変な状況になったと困惑した」。国交省の小川富由住宅局官房審議官は、昨夏の心境をそう話す。
  2. 申請図書の差し替えなどを原則認めないという運用が徹底され、設計図書の説明事項も大幅に増えた。
  3. 今回の法改正の内容は審査の強化であり、構造設計の方法が根本から変わったわけではない。
  4. 制度構築を担った側では、1〜2カ月で混乱は収まると見込んでいた。
  5. 審査が厳しくなった結果、設計図書の完成度は高まったのだろうか。
  6. 「第三者から見て分かりやすくなった」(小川審議官)というのが全体の傾向だが、「設計者の質に大きな差がある」(指定確認検査機関)、「底辺レベルの設計者は成長していない」(特定行政庁)
  7. 大手判定機関でピアチェックを総括する実務者は「低いレベルの設計者が思っていたよりも多い。小規模案件がむしろ問題だ」
  8. 設計図書の不整合の扱いも「少しぐらいは良いという人もいるが、いくら優れた計算書でも、図面を間違えて危険になったら意味がない」
  9. 規制強化は必要だったとの見解だ。