付加価値の創造とは、人々の切実なニーズに応えていく、ということである

2008年版 中小企業白書
第1部 2007年度における中小企業の動向

  1. とりわけ、2007年度における原油価格の高騰や改正建築基準法の施行後の建築着工件数の減少は、中小企業の収益に大きな影響を与え、足下では中小企業の業況が悪化してきている。

第1節 2007年度の我が国経済の動向

  1. 建設業者のみならず建材・部材の製造業者等にも影響が生じた。
  2. 建築向け鋼材メーカーが相次いで減産を表明したほか、セメントメーカーは出荷量が対前年同月比10%以上減少し、サッシや板ガラスの出荷も減少、家具関係でも受注への影響が一部で顕在化した。
  3. こうした中、建設業の倒産件数が2007年10月に対前年同月比25.8%増、11月に29.6%増と大幅に増加した。
  4. 国土交通省の試算によれば、住宅着工件数が10万戸減少することによる関係産業の生産への影響は3兆円程度、中間投入を差し引いた付加価値ベースでは1兆4,661億円(GDPの約0.3%)とされている。

住宅着工統計
結び 付加価値創造による生産性向上を目指して

  1. 生産性の向上と地域活性化を図っていくため、中小企業は付加価値の創造の原動力となることが強く期待されている。付加価値の創造とは、人々の切実なニーズに応えていく、ということである。アジアを始めとした新興国のマーケットの拡大、食品の安全・安心、高齢者福祉、地球環境問題など、新たな対応を求めるニーズは増大の一途を辿っており、これらは中小企業にとってもビジネスチャンスとなり得る。

中小企業の9割超 原油高で収益圧迫
原油や原材料高で業況悪化・中小企業白書