住宅販売業者の「資力確保措置」が4月1日にスタートする
- 昨年6月の改正建築基準法施行後の建築確認の遅れによる住宅着工の減少が、ようやく回復の兆しを見せる中、建設業界に新たな懸念が生じている。
- 耐震偽装問題を契機に制定された「特定住宅瑕疵(かし)担保責任履行確保法」(住宅瑕疵担保履行法)の施行が09年10月と決まり、その前段となる住宅販売業者の「資力確保措置」が4月1日にスタートするからだ。
- 同法では、販売した住宅に欠陥が見つかって販売業者に瑕疵担保責任が生じる場合を想定。
- 保証金の供託や保険への加入のない販売契約は禁止される。
- 販売業者にとっては事前に準備しなければならない資金が増加。
- 負担増を嫌って販売戸数を絞ることになれば、持ち直し始めた住宅着工に再びブレーキがかかるとの見方も出ている。
- 同法は住宅の買い主を保護するため、新築住宅の売り主や請負人に対し、販売した住宅に欠陥があった場合に備えて保証金の供託や保険への加入といった資力確保措置を義務付けた。
- 売り主などが倒産などによって欠陥部分を補修できなくなった場合は、保証金の還付や保険金の支払いで買い主を保護する仕組み。
- 住宅品質確保促進法で定めた10年間の瑕疵担保責任に対応。
- 構造上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分などをカバーする。
- 09年10月以降に新築住宅を引き渡すハウスメーカーやマンションデベロッパー、注文住宅を請け負う建設業者は保証金の供託や保険への加入が必要になる。
- 供託額は毎年3月31日と9月30日を基準日に、基準日以前10年間の供給実績から算出。
- 戸数に応じて算出式は異なり、上限は120億円。
- 年間500戸の新築住宅を供給するハウスメーカーのケースでは、初年度に1億4000万円が必要。
- その後、毎年供託金は増え、10年後には5000戸分の供託金として3億4000万円が必要になる。
- 10年間で5万〜10万戸を供給するデベロッパーだと、初年度は11億4000万円〜18億9000万円を供託しなければならない。
- デベロッパーなどから工事を請け負う建設会社に資力確保措置の義務はなく、ゼネコンなどへの直接の影響はないように見えるが、供託金や保険料を負担に思うデベロッパーなどが着工戸数を減らせば、工事受注の面で影響が出る可能性がある。