思考停止

【デジタル操るアナログ力】(1)大臣認定プログラムは「魔法の杖」ではない

  1. 大臣認定プログラムの開発・普及が進み、建築確認の停滞が解消する──。国交省がこのようなシナリオ実現のために強調したのは、大臣認定プログラム使用による審査期間の短期化と、審査手数料の低減だ。
  2. 「審査省略がメリットになると、短く、安くと発注者から設計者に圧力がかかり、外圧でプログラムを選ばされかねない」と指摘するのは構造システムの元副社長で、国交省が設置した構造計算プログラム検討部会で委員を務めた水津牧子氏だ。
  3. 水津氏は「構造設計を大事に思っている人は建物に応じてソフトを使い分けるだろう。しかし、プログラムの範囲内でしか設計しない者も出てくるのではないか」と構造技術者の思考停止を懸念する。
  4. 東京建築研究所の山口昭一会長も「最近は計算のツールとして使わずに、判断もプログラムに任せているのでエンジニアが鍛えられない。技術者の教育問題にも絡むので、将来が心配だ」

。oO( 構造設計も然り。「認定」という机上の文字情報の枠に納めようとすると技術は死ぬ。