当時調達が困難だった鉄骨の代わりに、木材を使った

イタリア村:鉄骨代わりに木材違反使用?背景に無理な工期

  1. 名古屋港イタリア村名古屋市港区)の建物の一部が市の建築条例に違反して木造になっていた問題で、施工業者が村のオープンを05年3月の愛知万博開幕に間に合わせるため、当時調達が困難だった鉄骨の代わりに、木材を使った可能性が高いことが7日、関係者の証言で分かった。
  2. 運営会社の名古屋港イタリア村によると、条例に違反していた14棟の建物は、イタリアの風景を模した運河が完成した後の05年1月に着工。約2カ月の短期間で完成し、村は万博開幕の3月25日からわずかにずれ込んだ4月2日に開業した。
  3. 名古屋港管理組合から条例違反の可能性を指摘された村は今年2月以降、当時の工事について聞き取り調査を実施。施工を担当した系列会社の「CRIデザインオフィス」(東京都)の社員が「鉄筋の需給がひっ迫して、調達が工期に間に合わなかった」などと、木造にした理由を語ったという。
  4. 一方、市からの是正勧告を受け、イタリア村は飲食・物販店が入る問題の14棟の建物を改修する以外に、更地にして広場にしたり、大規模な単体の建物に立て替えたりする案を検討していることを明らかにした。同社の阿部昌隆常務は「コストや収益上の効率を考慮しながら改修を進め、営業も続けたい」と話している。

イタリア村社長「鉄骨調達間に合わず」 建築条例違反問題

  1. 名古屋市港区の商業施設「名古屋港イタリア村」をめぐる建築条例違反問題で、イタリア村が県知事の指定を受けた民間検査機関に着工前に行った建築確認申請をした際も、建物の構造を「鉄骨」「鉄骨一部木造」などと記載をしていた
  2. イタリア村の田中肇社長(50)は7日、申請と異なる木造で建てた理由について、本紙の取材に「鉄骨の調達が間に合わなかったため」
  3. 田中社長によると、問題の14棟は2004年8月に木造で設計。同年11月、高潮で流されないよう臨海部の木造建築を禁じた市条例の存在に気付き、鉄骨で設計し直した上で建築確認申請をした。
  4. しかし、当時は05年3月開幕の愛知万博に向けた建築ラッシュのため鉄骨が調達できず、「同年4月のオープンに間に合わせるため、当時の経営者が施工業者に指示し、急いで木造で建てたようだ。以前の設計図を使ったのかもしれない」
  5. 名古屋港イタリア村の系列会社で、条例違反の木造建築物を建てたCRIデザインオフィス(東京都)は「木造の予定だったのに04年12月ごろ、鉄骨で造ってくれと言われた。鉄骨は愛知万博のため足りず、何カ月も待つ状態のため1度は断った。その後、イタリア村からの指示で木造になった」
  6. 田中社長は06年9月にグループ会社から移り、経営を引き継いだが、今年2月に名古屋港管理組合(名管)が指摘するまで違反建築物の存在や条例に気付かず、業者に問い合わせたが問題はないと言われて、そのままにしていた
  7. 「いまの木造建築は基礎がしっかりし、危険はない。営業を続けつつ順次、建て直しを進め、違反を解消したい」
  8. イタリア村は通常営業を続けている。

イタリア村、14棟が禁止の木造 名古屋市建築条例違反

  1. 名古屋市港区の商業施設「名古屋港イタリア村」の施設内の建物の多くが、木造建築を禁じた名古屋市臨海部防災区域建築条例に違反しているとして、同市は6日、是正を勧告した。
  2. 違反している建物は実際はすべて木造だったにもかかわらず、市や名古屋港管理組合(名管)への届け出では「鉄骨」となっており、開業を急ぐために偽って木造で建築をした疑いがある。
  3. イタリア村は営業を続けながら、違法建築物を順次、建て替える方針。
  4. イタリア村の建物は全部で19棟あり、違反していたのは飲食店や物販店など14棟、延べ約3300平方メートル。本館以外の売り場のほとんどを占める。
  5. 条例は、高潮で名古屋港から流出した木材が周辺に被害を与えた伊勢湾台風を教訓に1961年に施行、臨海地区の木造建築を禁じている。
  6. イタリア村は、名管が使わなくなった土地と倉庫を活用しようと、資金調達から運営まで民間に任せるPFI方式の公共事業で発注。
  7. 飲食店などを経営するセラヴィホールディングス名古屋市中区)が中心となって受注し、運営している。
  8. 入場客の減少による経営悪化を受けて財務状況を調べていた名管が2月8日に気付き、イタリア村に指摘。
  9. 村は2月22日、条例違反であることを市に申告した。
  10. イタリア村は建築前、名管に工作物設置申請を出し、許可を得た後、倉庫を本館に改装する工事に2004年8月に着手。12月に14棟の建築確認申請をして、順次、05年1−2月に許可された。すぐに着工したが、うち3棟は4月のオープンに間に合わず、6月に完成した。
  11. イタリア村は「なぜ木造にしたのか関係者に聴取中」としているが、鉄骨よりも木造の方が早く完成するためだったのではないかと推測している。
  12. 施工したのはセラヴィの系列会社で、関係者によると「イタリア村の指示を受けて木造にした」と話しているという。
  13. イタリア村は暴風警報発令時、営業を休止する決まりのため、高潮などで客に危害が及ぶことはないとしている。
  14. 市は3月21日までに是正計画を提出するよう求めている。

初めから違法性認識 イタリア村建築条例違反

  1. 「営業に支障はないと…」。同村幹部は違反建築を認識していた
  2. 名古屋港イタリア村株式会社の阿部昌隆常務(51)は2005年4月のオープン前から、条例違反を認識していたことを明らかにした。「実際は木造ではないかと、完成前に聞いたことがある。だが構造上、弱くて倒れるものでもないし、条例は津波や高潮を想定したもの。日常の営業に支障はないと思っていた」自ら構造を確認することはしなかった。
  3. 今年2月、名古屋港管理組合から「条例に違反しているのではないか」と指摘を受けるまで、具体的な調査は行わなかった。阿部常務は「オープンから3年近く、安全性を心配する意識はなかった」
  4. 建築確認をした民間の検査機関は「イタリア村の書類には鉄骨とあった。まさか木造とは思わなかった」
  5. 施工業者も「(木造は)イタリア村からの指示だった」
  6. 名古屋市住宅都市局によると、市の臨海部防災区域建築条例は伊勢湾台風(1959年)を契機に、その2年後に施行された。高潮などの危険がある区域の建築物に非木造にすることや、床の高さを一定以上に設定するよう求めている。
  7. イタリア村の敷地は「直接高潮による危険のおそれのある」第1種区域に指定され、木造以外の建築物としなければならないと定めている。
  8. 市が条例違反で是正を勧告した14棟は、建築確認申請の図面上は「鉄骨造り」とされていた。
  9. だがイタリア村から「木造の可能性がある」と相談があり、市が施工業者への聞き取りや建物の構造を調べたところ、木造と判明。
  10. 14棟の建築確認は2004年12月前後に、指定確認検査機関である民間の「日本ERI」(東京)と「愛知県建築住宅センター」(名古屋市)の2社が行っていた。

イタリア村に禁止の木造 14棟が名古屋市建築条例違反

  1. イタリア村は暴風警報発令時、営業を休止する決まりのため、高潮などで客に危害が及ぶことはないとしている。

名古屋港イタリア村:工事費未納、17棟仮差し押さえ

  1. 経営再建中の名古屋港イタリア村名古屋市港区)の工事代金約1億円が未納だとして、京都府内の建設会社が一部施設の仮差し押さえを京都地裁宮津支部に申し立て、認められていたことが4日、分かった。
  2. イタリア村は「未納分は支払い時期などの交渉がまとまれば支払う」と話している。
  3. 申し立てていたのはイタリア村で温浴施設を建設していた「金下建設」(京都府宮津市)。06年9月に4億3050万円で受注したが、工事代金の支払いが再三遅れたため工事は途中で中断、07年6月に契約はいったん解約された。両社の精算協議で、工事代金は1億4700万円と確定したが、昨年10月を最後にイタリア村からの支払いが止まり、9971万円が未納となっている。
  4. このため金下建設側がイタリア村内の結婚式場や小型店舗など17棟の仮差し押さえを同支部に申し立て、2月14日、申請分すべてについて仮差し押さえ命令が出た。同社側は「債権が支払われないのであれば、差し押さえの権利を実際に行使することもありうる」と話している。
  5. イタリア村はオープン当初の05年度は400万人以上の来場者があったが、現在は半減して約100億円の負債を抱えている。不振打開のため、親会社「セラヴィホールディングス」(名古屋市中区)が、オリックス子会社など3社の中から新スポンサーを選んで今月中にも出資形態をまとめる交渉を続けている。

イタリア村、仮差し押さえ

  1. 公共工事の社会資本整備(PFI)方式でつくられ、その後経営が悪化している名古屋市港区の娯楽商業施設「名古屋港イタリア村」で、温泉施設を施工した建設会社「金下建設」(京都府宮津市)が代金約1億円が未払いとして、京都地裁宮津支部に行った申し立てに基づき、同支部が17施設の仮差し押さえを命じていたことが4日、分かった。
  2. 命令は2月14日付で、対象は駐車場や土産物屋、結婚式場など。
  3. イタリア村を運営するセラヴィホールディングス名古屋市)は営業に支障はないとし、「代金の支払い方法を交渉中。時期は未定だが、中断している工事の再開に合わせて払いたい」と話している。
  4. 申し立てをした金下建設はイタリア村に温泉施設を建設。同社の弁護士によると、平成18年9月、約4億円で建設契約を締結し、同月着工したが、代金の支払いが遅れたり、滞るなどして工事が中断した。
  5. イタリア村は、民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を採用。
  6. 愛知万博開幕に合わせて17年にオープンし人気を集めたが、万博後に失速。
  7. 18年度の来場者数は200万人に届かなかった。

仮差し押さえ通知せず 名古屋港管理組合がイタリア村に抗議

  1. 名古屋港管理組合は5日、一部の建物が仮差し押さえの命令を受けた名古屋港イタリア村名古屋市港区)に対し、命令を受けた事実を通知しなかったとして、文書で抗議した。
  2. 組合は、使わなくなった名古屋港の土地と倉庫の活用を、資金調達から運営までを民間に任せるPFI方式で、イタリア村側に発注。契約には、不測の事態が起きた場合には通知することになっていた。
  3. イタリア村は、経営悪化のため温泉施設の工事代金の支払いが滞ったため、2月中旬に一部の建物について京都地裁宮津支部から仮差し押さえの命令を受けた。しかし、組合には伝えなかった。
  4. また2005年にオープンしたイタリア村は当初、施設整備に53億円が必要と見積もっていたが、テナントが思うように集まらず、自ら物販店を経営するなどしたため、必要経費が増大。07年2月期には負債総額が109億円になっていた。
  5. 組合はこうした財務悪化も、イタリア村が融資を受けていた金融機関から「貸付金の返済が滞った」と連絡を受け、07年秋にようやく把握したという。