下請け業者との調整不足で
- 佐久市の長野新幹線佐久平駅近くに2月に完成した分譲マンションの販売が自粛されている問題で、施工した東武グループの東武建設(栃木県日光市)は7日、長野県庁で記者会見し、26カ所で不正工事が見つかったとし、マンションを解体する方針を明らかにした。
- 2戸が購入、3戸が契約済みで「購入者や売り主の会社に了解を得ていきたい」と謝罪した。
- マンションは「サンクレイドル佐久平」。
- 鉄筋コンクリート造りの地上11階、一部地下1階で、延べ約5900平方メートル。3LDKと4LDKが計50戸ある。
- 同社によると、梁(はり)に排気ダクトなどの貫通口を確保せずコンクリートを打設。後から直径10−26センチのコア抜き(穴を貫通)をした際、内部の鉄筋「あばら筋」(直径13ミリ)を切断した。これまでに26カ所のコア抜きが判明、構造的に不適正になる可能性が高いという。
- 同社の現場監督と下請け業者との調整不足で、工程が手順通り進まず、現場監督の判断でコア抜きを実施。鉄筋切断は承知していたが、本社へ報告していなかった。コア抜き個所は基礎部分から6階に集中していた。
- 完成直前の2月5日に県に情報があり、売り主のアーネストワン(東京都)に検査を依頼。同27日に行った電磁波レーダー検査で、不正が判明した。
- 県は販売自粛を要請し、宅地建物取引業法に基づいて購入者への状況説明を指導。東武建設にも建築基準法違反がないかなど調査を求めていた。
- 関正一・東武建設社長は会見で「補強工事をして済む話でないと判断した。購入者にはおわびし補償もできる限り対応していく」と話した。同社が建設した他のマンションも調査しているが、不正は見つかっていないという。