構造、設備はそれぞれの技術者の責任でやらなければならない

建築家責任で特別委/自覚求め契約など議論/仙田JIA会長

  1. 日本建築家協会(JIA)の仙田満会長は15日、建築家の責任問題についての特別委員会を近く設置する考えを明らかにした。仙田会長は、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会とも連携して一定の見解をまとめたい考えで、国土交通省に3会による要望書を提出したいとしている。特別委では、契約者、資格者、社会的生産者としての各責任を議論する。
  2. 契約者としての建築家は構造、設備設計まで一元的に責任を負うが、それは現実的ではなく、そうした建築家の責任の範囲などを考えていく。
  3. 仙田会長は、耐震強度偽装事件を始め、さまざまな場面で建築家の責任が問われることが増えてきたと指摘。「建築家は契約に基づき、設計の内容が計画であれ、構造、設備であれ、その設計の不具合については一元的に責任を負わなければならない」と述べた。
  4. その上で、「建築家はオールマイティーではない。現代の建築は複雑化、高度化、専門分化され、多くの協力者によって設計は行われる。その統括者責任、計画・意匠の責任は負うが、構造図の作成、構造計算書の作成責任は負うことができない。構造、設備はそれぞれの技術者の責任でやらなければならない」とした。
  5. また、社会的生産者としての責任は、「最も重く、あいまいでもある。倫理的な側面が強く、例えばクライアントの要求でも反社会的な建築はつくってはいけないことなどがある」と述べ、3つの責任を自覚し、自戒すべきだと述べた。
  6. 特別委では、こうした内容について議論し、早ければ3月中に検討結果をまとめる。構成メンバーは、出江寛次期JIA会長のほか、歴代会長、副会長などを予定している。