現場との対話が十分であれば

住宅業界が大混乱 法改正の落とし穴

  1. 審査完了が想定より2〜3カ月遅れている
  2. 『石橋をたたいて渡らない』とは、このことだ
  3. 10月の構造計算適合判断の件数は、前月を大きく上回る1000件を超えることが確実視されている。
  4. 国交省内にも「現場の習熟度が高まれば、回復に向かうだろう」との見方が出始めた。
  5. 専門家の多くは設計事務所やゼネコンなどで日常勤務し、判定機関には非常勤で土日のみの出勤というケースが少なくない。6万件をさばくための人員を実際には確保できていない(適判)
  6. 安全性確保の観点から「審査の合格ラインを下げることは本末転倒で、能力のない人にチェックしてもらっても仕方がない」(国交省建築指導課・安藤恒次企画専門官)
  7. 厳格化を錦の御旗としたものの、国交省の事前対応は配慮が足りなかったと言わざるをえない。
  8. 法改正の詳細を説明した技術解説書を配布したのは、施行よりも2カ月遅れの8月だった。建物の耐震性の点検に使う新しい「構造計算プログラム」の開発も遅れている。開発業者に、法改正の詳細が伝わるのが遅れたためだ。新プログラムが本格稼働するメドは今も立っていない。
  9. 法改正の詳細が決定する前の審議(事前説明)段階では、ピュアチェックが行われるのは「一定の高さ以上等の建築物」とされていただけだった。ところがふたを開けてみると、マンションや商業ビルなどは軒並み審査厳格化の対象だったのだ。「構造計算を切り口にして審査の基準を設けることは、関係者なら当然わかっているだろうと思っていた」と、国交省の安藤企画専門官は話す。
  10. 現場との対話が十分であれば、現実問題としての「専門家不足」も事前に把握できたであろう。少なくとも法改正後のこのような混乱は回避できたのではないだろうか。