現在の混乱が落ち着いたら議論したいとの考えを持っている

2段階の確認申請導入を/士会連合会が改正建基法運用で要望

  1. 日本建築士会連合会宮本忠長会長)は7日、改正建築基準法の円滑な運用に向けた要望書を冬柴鉄三国土交通相あてに提出した。
  2. 要望書には具体的な制度改善策として9項目を盛り込み、確認申請時にすべての設計を完了することが事実上不可能な建築物については、「2段階の確認申請方式」の導入を検討することを求めている。
  3. 士会連合会は、建築確認手続き厳格化の方向性は間違っていないとしながらも、過剰な厳格化や情報不足で現場に大きな混乱が生じている実態を踏まえた制度的な改善が必要と強調。
  4. 制度運用の統一的基準の早期策定や弾力的な計画変更手続きの運用、既存建築物の増改築への柔軟な対応などを要望した。
  5. 申請方式については、再開発ビルや「ハイテク工場」など、スケルトンインフィル的な設計が求められる建築物に対し、躯体部分と内装部分の2段階で申請が可能となる仕組みの検討を求めた。
  6. 計画変更手続きでは、専攻建築士など社会的信頼に値する建築士が設計した場合は、従来どおり完了検査前までにまとめて変更申請ができる弾力的な運用が必要としている
  7. 既存建築物の増改築に当たっては、神社仏閣など伝統建築物への緩和措置のほか、既存建物にエキスパンションジョイントを設ける増築に対して構造的に別棟扱いとするなどの柔軟な対応を要請した。
  8. 要望書は同日、藤本昌也副会長が国土交通省の小川富由官房審議官(建築行政)に手渡した。
  9. 小川審議官は、「要望にはできるだけ対応し、現場の審査が円滑に進むよう努力したい」と前向きに対応する考えを示した。
  10. また、藤本副会長は記者会見で、「要望の一つである『計画変更などの柔軟な対応』で示した建築士を信頼した柔軟な法運用の仕組みの検討について国交省は、現在の混乱が落ち着いたら議論したいとの考えを持っていると受け止めた」と述べた。