木造7階建建物 初の耐震実験

NHK兵庫のニュース
木造7階建建物 初の耐震実験
三木市の実験施設「Eーディフェンス」で世界で初めて、7階建ての木造建物に阪神・淡路大震災と同じ規模の揺れを加えて、耐震性を調べる実験が行われました。
実験を行ったのは日本の防災科学技術研究所などと、イタリアの国立樹木・木材研究所の共同研究チームです。
イタリア側のアーリオ・チェコッティ所長は、地球温暖化を防ぐために二酸化炭素を活発に吸収する森林を活用しようと、ヨーロッパでの木造建築の普及を目指しています。
イタリアは面積のおよそ40%が森林で、木材を建築に活用し、若い木を絶えず、植林していくことで、二酸化炭素の吸収量が増え、地球温暖化の防止につながるとされています。
こうした観点からヨーロッパでも従来の石造りやれんがの建物に代わって木造建築が普及し始めています。
しかし、日本と同様、過去に地震で多くの犠牲者が出ているイタリアでは、耐震性の確保が大きな課題です。
そこで公共施設などへの利用も考え、7階建ての建物で今回の実験が行われることになりました。
ヨーロッパの木造建築によく使われているのは、「クロスラミナパネル」です。
「唐檜」と呼ばれる松の一種の板をすき間無く貼り合わせ、厚さが7センチから20センチほどの丈夫なパネルにしています。
このパネルを使うと壁の厚さを自由に調整でき、高さに応じた耐震設計がしやすいのが特徴です。
また、床と床の間に補強用の金具を取り付けることで、さらに強度を高めています。
23日は、この建物をたて20メートル、横15メートルの巨大な震動台の上に載せ、12年前の阪神・淡路大震災と同じ規模の揺れを加えました。
建物は大きく揺れ、室内ではいすが倒れたり、耐震補強用の金具が一部はずれたりしましたが、壁や床にはまったく被害はありませんでした。
チェコッティ所長は、「耐震性の問題は理論的には解決したと思う。この建築方法を使って簡単に建物のデザインができるようにしたい」と話しています。
また、防災科学技術研究所の箕輪親宏・参事は、「コンクリートの建物に匹敵する耐震性が証明された。
住宅としては良い建築方法だと思う」と話しています。
日本では高層の木造建築は、耐震性に加え、火災に対する耐火性が保証されていないとしてほとんど普及していません。
国内での普及に向けては耐震性だけでなく、耐火性の確保が課題になりそうです。
中日新聞:欧州木造建築に耐震実験 阪神大震災級にも無事:社会(CHUNICHI Web)

  1. 実験した静岡大の安村基教授は「日本の風土に合うかは別だが耐震性は十分。間伐材を使えて地球温暖化防止にも役立ち、環境に優しい」