第32回全国大会(大分大会)|日事連

第32回全国大会(大分大会)

  1. 建築をめぐる産業構造の多様化、複雑化、或いは建築技術の高度化と専門分化などの進展によって大きく変化してきた設計・監理業務の実態と、その変化に応じた見直しがなされてこなかった法制度との乖離が拡大し、確認審査をはじめとする諸制度の形骸化などにより法制度が有効に機能しなくなっていたこと、さらには、業務遂行の重層化とそれに起因する責任の不明確化、加えて市場縮小下での過当競争など、業務をめぐる環境が職業倫理を脅かしかねない程までに劣悪化していたことも無視できません。
  2. このような状況下で昨年の6月と12月に、構造偽装の再発防止に向け、建築基準法の改正と建築士法の改正が行われたわけですが、本来、設計行為やその結果に対する審査の厳格化や罰則の強化など、設計者への不信を前提とした規制の強化よりも、設計者が自律的に職業倫理を遵守し職責を果たすことによって設計者への信頼が確保される、そのための設計者の資格や設計・監理業に関する枠組みの再構築、或いは規定の強化充実など、業務基盤の整備こそが優先されるべきであると考えます。設計行為や確認手続きへの過度の規制強化は制度運営の硬直化につながり、業務独占が付与され、その者の責任において設計ができるという資格者の基本的な存在意義さえも否定しかねず、また、創意の発露という設計行為の根幹を歪めかねません。
  3. 設備設計一級建築士の講習内容と修了考査のレベル設定如何によっては、設備設計に限らず建築設計の枠組み全体に深刻な影響を及ぼすだけでなく、設計業務に大幅な停滞を引き起こす可能性も危惧されます。