告示1206号業務報酬見直し案

設計意図伝達は設計業務に/告示1206号業務報酬見直し案

  1. 現行、工事監理の業務報酬に含まれている「設計意図を施工者に明確に伝えるための業務」と「施工段階で行われる設計業務」は設計業務に移行させた上で、業務量を算出する。
  2. 告示全体の見直しでは、「設計」と「工事監理等」の2つを、「設計」「工事監理」「工事監理に付随するその他の業務」の3つに分類し、設計変更業務などは追加業務として明確化する
  3. 現行の告示では設計と工事監理等の2分類しかないため線引きがあいまいで、施工段階での設計業務など、純粋な工事監理とは関係のない業務も工事監理業務として報酬が支払われている実態がある。このため、本来業務である工事監理部分への報酬には適切な報酬が支払われていない。
  4. 同省が2日に提示した見直し案では、現実的に設計者が質疑応答という形で対応しているケースが多い設計者への意図伝達業務と、施工段階での設計業務は、設計業務に含まれる業務として整理している。
  5. 設計の標準業務については、「建築主の要求や法適合性のみならず、施工の妥当性も満たした実施設計図書を作成すること」と位置づけ、これを満たさない不十分な設計図書を作成した場合は、業務量を補正する考えを示した。

国交省/業務報酬基準見直し案/工事監理の業務量、契約や設計変更と切り分け

  1. 同小委員会は、12月12日に開く最終会合で見直しの方向性を取りまとめる。
  2. 見直し案によると、狭義の工事監理は、工事が設計図書や請負契約に合致しているかどうかを確認して建築主に報告することや、引き渡し時の立ち会い、施工図などを設計図書に照らして検討・確認する業務などを対象とする。
  3. 設計意図や設計内容を正確に伝えるための質疑応答や、工事施工段階で設計作業が続いている場合は、設計業務として扱う。
  4. 業務報酬基準全体のあり方の見直しに向けては、建築確認申請図書の作成を業務に加えることや、追加業務をできるだけ細部まで規定することなどが検討課題として挙がっている。
  5. 業務量を現行の工事費ベースから延べ床面積ベースに改めることが方向性として示されているが、これについては「発注者が分かりにくいのでは」といった指摘も出ており、今後さらに検討する。
  6. 国交省は、同小委員会での取りまとめを踏まえ、来年1月〜3月に業務量に関する実態調査を行い、具体的な基準に反映させる。

国交省、建築設計業務の報酬基準見直しで「建築確認申請図書の作成」を標準業務内容に

  1. 6月20日の改正建築基準法施行に伴う建築確認・検査の厳格化によって、建築確認申請図書の整合性が厳しく問われることとなり、大臣認定書(写し)の添付など提出が求められる書類も大幅に増えた。こうした負担の増大にもかかわらず、図書の作成を担当する設計者の報酬は以前と変化が見られないのが実情だ。こうした状況を受け、国交省は建築設計業務報酬基準を定めた告示1206号に、「確認申請図書の作成」を組み入れる必要があると判断。3日の社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会「業務報酬基準・工事監理小委員会」に提示した。

追加的な業務については

  1. 設計変更(施工段階に行われるものを含む)
  2. 調査・企画業務(建設意図と要求条件の把握、官公庁からの情報収集、事業計画・維持管理計画の検討、工事費概算書の作成など)
  3. 関係者への説明(設計者としての説明、依頼主が行う説明への協力)
  4. その他(高度な構造解析、ランドスケープデザイン、工事費内訳明細書・数量調書の作成など)

建築設計業務の報酬基準見直し 国交省