非構造壁_「君子危うきに近寄らず」_詳細は確立されていない

コロキュウム「構造設計におけるRC非構造壁の実務的取り扱い手法の現状と課題」

  1. 鉄筋コンクリート造非構造壁の構造計算上での取り扱いに関する基本的な考え方は、「2007年度 建築物の構造関係技術基準解説書 付録1-32」において、次のように示されている。
  2. 「設計者は構造計算に当たって、鉄筋コンクリート造の腰壁・そで壁等を構造壁と非構造壁とに明確に区別する。構造壁については、構造計算に於いて構造部材としての期待する性能を評価する。非構造壁については構造計算では無視するが、その壁が構造体に及ぼす影響を適切に評価することを原則とする。」
  3. しかし現実をみると、建築構造として健全な方向であるかどうかは横に置いて、「君子危うきに近寄らず」が如く、スリットによって非構造壁を縁無き衆生と見なす手法が多用されるなど、構造設計上での非構造壁の取り扱い手法は、実務における具体的な個々のケースで噴出する素直な疑問や悩みに対処できるほど、その詳細は確立されていない。
  4. 本コロキウムでは、文献調査や解析的検討などの現状を通して、日常の構造設計実務において出会う非構造壁の取り扱い手法に関する課題・問題点について有益と思われる設計資料・知見を紹介する。