鉄スクラップ価格は、8月に入り急落
- 東京製鉄は19日、9月契約分の鋼材価格を全15品種で5ー11%引き下げると発表した。
- 全品種の値下げは3年2カ月ぶり
- 代表的な建設用鋼材であるH形鋼は2年10カ月ぶりとなる。
- 原料の鉄スクラップ価格の急落に加え、需要が国内外で伸び悩んでいることが理由
- 原油や非鉄など国際商品相場も下げに転じており、上昇一辺倒だった産業素材市況に変化の兆しが出てきた。
- 新たな販売価格(標準品)はH形鋼が1万円下げて1トン11万8000円。
- 今回の値下げで流通価格は新日鉄を5000円程度下回る水準となるもよう。
- 棒鋼と熱延コイル、厚鋼板は6000ー1万2000円下げてそれぞれ10万円、10万5000円、12万6000円とした。
- 原料の鉄スクラップ価格は7月末から急落し、指標品の東京での取引価格は1トン7万円から5万円まで下がった。
- 鋼材需要も東アジアでの拡大基調が一服し、一部の鋼材や鋼材半製品の輸出価格が反落した。
- 国内の建設需要も景気低迷と資材高で回復の兆しがみえない。
- 東京製鉄は8月19日、9月契約分の鋼材の一般流通向け価格を引き下げた。
- 8月契約分に比べて、H形鋼と鋼矢板は1t当たり1万円、異形棒鋼は1万2000円のそれぞれ値下げとなる。
- 鋼材高を招いた鉄スクラップ価格は、8月に入り急落。
- 電力料金の高い夏の減産期を迎えたことや建設需要の低迷から、国内電炉メーカー各社が鉄スクラップを買い控えた
- 韓国向けをはじめ輸出も減っている。
- 鉄スクラップ価格の下落で、電炉メーカーに対する建設会社などからの値下げ要求は強まっていた。
- 東京製鉄は2月契約分から鋼材を値上げしてきた。
- 6月契約分までの5カ月間におけるH形鋼の値上げ幅は1t当たり4万8000円に上り、価格は1.6倍になった。
- それでも鉄スクラップ高には追いつかず、同社の2008年4―6月期決算は営業損失に陥った。