回収の遅れや回収不能になる債権が増加していた
三平建設株式会社 _ 大型倒産速報 _ 帝国データバンク[TDB]
- 2001年10月には東海建設(株)(負債243億円、東京都、破産)に10億円弱の不良債権が発生。
- 過剰債務のゼネコンとして信用不安は根強く、2003年11月に「抜本再建計画」を策定。
- 陣容をほぼ半減する人員削減を中心に、所有不動産の売却、2004年3月には債務免除を中心とした総額267億円の金融支援を受けて減資を実施し、信用不安は沈静化していた。
- しかし、主力であるマンション工事の受注は大手ゼネコンの参入などから競争が激化、建築単価引下げ圧力が強まり、利益確保のため選別受注に努めたことなど年売上高は、2000年3月期の約637億5300万円から2008年3月期には約320億3100万円にまで落ち込んでいた。
- この間、2007年後半頃から、米国のサブプライムローンに端を発する世界的な金融不安などの影響から不動産・建設業界を取り巻く環境は急激に厳しくなった。
- こうしたなか、7月に(株)ケイ・エス・シー(負債約108億円、東京都、破産)に約6億円、(株)興大(負債約55億円、東京都、破産)に対し約14億2600万円の不良債権が発生。
- 7月末の支払いのメドが立たず今回の事態となった。
- バブル期に関連会社・三平地所(株)を通じて行った積極的な不動産投資が裏目となって経営が悪化。
- このため、15年11月、(株)整理回収機構の「企業再生機能」を活用し「抜本再建計画」を発表。
- 金融機関から債務免除や債務株式化などの金融支援を受けるほか、グループ会社の整理を進め、中小分譲マンションの建設事業に特化して再建を目指していた。
- その後、マンションブームもあって業績は好転し、抜本再建計画を1年前倒しで18年3月に終了していた。
- 近年は首都圏マンション市場において土地代及び建築費の高騰による販売価格の上昇や改正建築基準法の影響などで営業環境は悪化。
- こうした環境下で、18年12月に策定した「新中期経営計画」に基づき、20年3月期は年商約320億円を確保していた。
- しかし、原油価格の高騰など建設業界の状況は急激に厳しくなるなか、取引先の経営悪化から多額の売掛金の回収が停滞。
- さらに、20年6月に取引先の(株)ケイ・エス・シー、7月には(株)興大が相次いで破綻。それぞれ約6億円、約14億2600万円、合わせて約20億2600万円の債権の回収見通しが立たなくなり、7月末の支払いに支障をきたし、今回の措置となった。