基準法に位置づけのない伝統構法

「このままでは伝統構工法の家がつくれない!」

  1. 2007年6月の建築基準法の厳格化により、基準法に位置づけのない伝統構法はつくりにくい事態に陥っています。
  2. 一方で、伝統構法を数値化し、基準法に位置づけを与えようという動きも、国では始めています。
  3. 現場のつくり手、国交省の担当官、学者。
  4. 関係者が一同に集まり、じっくり議論を尽くすフォーラムを行います。
  5. 伝統構法はこれからどこへ向かうのか。
  6. どうなっていくべきなのか。
  7. この場に立ち会って、考えてください、あなたも。

。oO( 数値化しないと確認審査が間々成らない・出来ない。確認審査のための数値化とも言えるかも知れない。

  1. 伝統構法も建築基準法に位置づけられてこなかったがゆえに、これまではそれでも建築主事の判断等でなんとかつくることができていたのが、厳格化によって融通性がなくなり、審査が硬直化したために、相当不利な立場に追い込まれるという状態にある。
  2. 中でも特に、建物と基礎とを緊結せず、基礎の上に柱を直接立てる「石場立て」というもっとも「伝統構法らしい」建て方は、建築基準法の仕様規定ではカバーされていないため「建てられないに等しい(建てられないわけではないが、ピアチェックというお金も時間も膨大にかかる審査を受けなければならなくなったため、住宅程度の施主には現実的ではなくなってしまった)」という状況に追い込まれている。
  3. エアコンに頼らない自然な暮らしを実現するためには、床下があいていることが大事で、立ち上がりなしの基礎に柱を建て、柱同士は足固めでつなぐ石場立てはとても有効だというのが、古川さんが石場立てを積極的に採用する理由だ。「それが改正基準法以来、ピアチェック送りということになって困っている」木造二階建ての住宅レベルの建物に対して、マンションや高層ビルに対して求めるほどの高いハードルを設定することの矛盾を「環境に負荷をかけずに高温多湿な気候に合った家づくりをする伝統構法の火を消してよいのでしょうか?」
  4. 「伝統構法を扱えない」という問題は、改正基準法以前から、そもそも建築基準法の制定時から綿々と続いていることだ。「バラック住宅を生み出さないために制定した最低基準」として制定された建築基準法には、戦前まであたりまえに行われていた日本の大工の高い職人技術による伝統構法は、そもそも位置づけられることがなかった。自然素材である木がもつ素材としてのばらつき、棟梁が一軒一軒手刻みするという個別性、地方によって異なる気候風土に応じてちがった工夫がされてきた地域性といった多様性を、工学的に扱いにくかったという背景もある。改正基準法で法の適用が厳格化されたことにより、この問題が「あぶり出された」に過ぎない。このままでは、建築基準法があるがために、歴史的文化的な価値があるだけでなく、めざすべき資源循環型社会にふさわしいすぐれた環境性能をもった伝統構法がつくれなくなるという事態に陥ってしまう。
  5. この問題をここ3カ年で、具体的に解決するという目標を打ち出し、現場実務者も入れた形での委員会を始動させたのが、国土交通省木造住宅振興室越海興一室長だ。伝統的な要素を活かした家づくりを今後政府が積極的に打ち出して行く「長寿命優良住宅(200年住宅)」として位置づけていくことまで見据えた室長のビジョンを訊こう。
  6. 昔から「柔構造」であるといわれ、「剛構造」の現代の建物とは明らかに違った性質をもっていながら、構造的な検証はほとんど手つかずだった伝統構法。それをここ3カ年で、法律に位置づけると、国は方針を決めた。
  7. 「古いからいいのではない、古くていいものと、よくないものとを分けるべき」