第三者からの投書

老人ホーム施工ミスに計画変更の申請せずに対処、奥村組が大阪市内で

  1. 施工中、1階の柱27本のうち2本で、28本必要な主鉄筋のうち20本しか正しく施工していないことがわかった。
  2. 奥村組は鉄筋不足の柱を補強した。
  3. 当初の設計とは異なる構造になり、計画変更の確認手続きが必要になった可能性があるが、工事関係者は設計変更について確認検査機関の建築検査機構(大阪市)に相談しなかった。
  4. 建築検査機構は、設計変更を知らないまま2008年2月に完了検査済み証を交付した。
  5. 奥村組広報課によれば、現場所長は鉄筋の施工ミスを鉄筋工事会社からは知らされず、後に圧接工事会社の指摘で知ったが、本社に報告しなかった。
  6. 奥村組の本社は、竣工後の3月に第三者からの投書をきっかけとして事態を把握し、発注者のトーワ産業(大阪府門真市)や大阪市に報告した。
  7. 問題のビルは民間建築だが、市が推進する阿倍野再開発事業の一環で、約1億3000万円の補助金(市街地再開発事業費)が支給されることになっている。市は、当初の設計図書どおりの建物でなければ補助金を支給しない方針だ。奥村組は施工のやり直しに着手した。
  8. 市によると、ビルの設計・監理者は空間計画研究所(大阪市)で、延べ面積は約6150m2、総事業費は約12億1000万円だ。

阿倍野再開発:老人ホーム、不良施工で工事やり直し 市が補助金凍結 /大阪

  1. 大阪市阿倍野再開発事業で、老人ホームが入居予定の8階建てのビルが設計図面通りに施工されず、市が事業主に対する補助金約1億3000万円の支出を凍結したことが分かった。
  2. 事業主から建設工事を請け負った奥村組(阿倍野区)は工事をやり直す方針。
  3. 市や奥村組によると、不適切だったのは1階土台部分の柱2本。図面では鉄筋が28本必要なのに20本しか入っていないことに気付いて各8本を加える際、本来ならコンクリートを壊して長さ2メートルの鉄筋を追加すべきだったが、コンクリートに穴を開けて約20〜30センチの別種類の鉄筋を埋め込んで済ませたという。
  4. 今年2月に民間の確認検査機関が完了検査を実施したが、見抜けないまま検査済証を発行。
  5. しかし、3月10日ごろに奥村組に「図面通りではない」との投書があり、事業主が同11日に市に報告。市は図面通りに直すまで補助金支出を凍結した。
  6. 奥村組は「現場レベルで補修の仕方を決めてしまった。科学的に強度に問題はないと考えるが、図面通りではないのは不適正だった」としている。
  7. 市は確認検査機関に対して、見逃した原因も含めて報告を求める方針。