従来工法とほぼ同水準|工費

網走川、石垣で護岸 津別 環境配慮し網走開建

  1. 網走管内津別町を流れる網走川の川岸に、城壁のような石垣十七基が出現した。
  2. 網走開建が二〇〇七年度、網走川洪水対策河川改修の「水制工」と呼ばれる護岸工事に、道内では初めて自然石を積む工法を大規模採用した。
  3. 工事区間は、同町達美(たつみ)地区の川が蛇行する約一・六キロ。
  4. 大雨による網走川の増水で畑が冠水する被害がたびたびあったという。
  5. 通常の護岸工事ではコンクリートブロックや、金網に石を入れた塊を用いるが、網走川はサケなどが遡上(そじょう)するため、環境に配慮して石垣とした。
  6. それぞれの石垣は、水流が強い、川がカーブした地点に設けられ、高さ三・五メートル、幅五メートル、奥行き二メートル。一辺が一・三メートルから三十センチまで大小さまざまな自然石を釧路市阿寒町から運び込み、積み上げた。
  7. 水流で石が崩れないよう、城の石垣造りなど伝統工法に詳しい高知県の石工から指導を受け、昨年十月から今月中旬にかけて北見市の業者が重機で石組みした。
  8. 網走開建によると、工費は約六億六千万円。コンクリートなどを用いる従来工法とほぼ同水準という。
  9. 同開建北見河川事務所が設立した網走川現地検討委員会の委員を務める野生鮭研究所(網走市)の小宮山英重(えいしげ)所長は「護岸に自然石を使えば川岸の植物環境が整う。また、自然河川に近い状態となり、ふちや瀬ができるだろう」と話す。
  10. 網走川には産卵のためシロザケやサクラマスなどが遡上(そじょう)するため、「完成後も工事区間を追跡調査し結果を見守りたい」としている。