2次下請けの職人の稼働日数が1カ月に10日前後
鉄筋業界に広がる困惑−着工遅れ、元請けの単価下げ圧力/東鉄協調査
- 「工事がいつ始まるのか分からない。このままでは職人の手配すらままならない」
- 「資材価格の急騰で元請から単価を下げろという声が強くなっている」
- 昨年6月の改正建築基準法の施行による着工の遅れの影響が長引いている上に、最近の鋼材価格の急騰が加わり、鉄筋業界で困惑が広がっている。
- 東京都鉄筋業協同組合(内山聖理事長)の調査によると、確認申請の遅れによる工事の中止・延期で会員の労務稼働率は現在、80%と低迷。5月の予測でも90%にとどまるとの見方をしている会員が多いことが分かった。
- 「建築確認の遅れ、建築コストの上昇で事業計画が大幅に遅れたり、中止になったりするケースがある」
- 「工事を完了したグループの次の現場の予定が軒並みずれ込んでいるため、工事開始までの空きが増えている」
- 「2次下請けの職人の稼働日数が1カ月に10日前後というケースも多く、生活費の立て替えが発生している」
- 工事の減少は単価にも影響を及ぼし始めている。
- 「仕事のない業者が異常に安く見積もりを入れている」
- 「ゼネコンから安い単価でやる業者もいると言われ、この値段に合わせるように言われた」
- 鉄筋工事の契約単価は、適正単価を要望する鉄筋業界の運動もあり、昨年後半から上昇傾向にあったが、一転して予断を許さない状況になっている。
- さらに、鉄筋業界にとって深刻なのは、先の見通しが立たないことだ。
- 会員の多くは、夏場には100%以上の稼働率になるとみているが、「これは希望的観測。確実ならば職人の手配をするが、手配をしても再延期になるのではとの不安がある。ローテーションが組めない」
- 仮に、遅れていた工事が今後、順調に出てきたとしても懸念は残る。
- 「工事が集中して出れば、今度は職人不足になるのは明らか。現在の仕事がないために職人をやめる人もいる」
- 最近の鋼材価格の急騰も大きな不安の種。
- 既に「建築確認の遅れと最近の鉄筋の大幅値上がりにより、ゼネコンから単価抑制の動きが出ている」
- 「現状でもきちんと清算してくれるのか」といった不安の声も出始めている。