半値8掛け2割引

建築士報酬のガイドライン告示1206号の見直しの中での一つの意見

建築分科会基本制度部会 第13回(平成19年12月19日)議事録
【○○委員】

  1. 30年前ぐらいになりますが、1206の策定にことに多少かかわったこともあり、ぜひいい形で改正していただきたいと思うんですけれども、多少言ってもせん方ないかなという感じもするのは、実態はほとんど守られていないということです。
  2. 我々は、設計料問題というのは常にクライアントとやり合っているわけですけれども、なかなかうまくいきません。
  3. 例えば9割ぐらいとか8割ぐらいに押さえられてくれというのならまだ判るんですけれども、ほとんど民間なんかの場合は、基準に基づいて出すと、彼らが想像していた倍以上出してきたという感じになってしまうんですよね。
  4. この1206の場合も策定に当たって実態調査をしたんですよ。そのときにどういう結果が出たかというと、基準としては100の人件費に対して報酬は2.5倍という、そういう概算法がありますが、実態は多分1.5から1.6だったんですね。だから6掛けぐらいの感じでしか設計料がもらえていないということになったわけです。今回も調査されるとしたら、同じような結果が出るような気がします。
  5. 多分それ以上に、地方の場合には半値8掛け2割引みたいな結果が出るかもしれません。
  6. つまり、設計料問題はいわばクライアントの心掛けの問題に尽きると思います。
  7. ここで議論している意味は、少なくとも法がまず客観的なガイドラインを明示して、あとは、我々がそれをベースに、あとは闘うしかないのかなと受けとめています。
  8. しかし、できればこういう基準を決めたものが、少なくとも公共発注の場合には、ぜひそれがかなりの足かせになってもらいたい。つまり、この規定が誘導法的な性格を持ってもらえないのかなという期待があります。やはり、それもそれぞれの努力だと言われればそれまでなんですけれども。
  9. 公共発注の場合、地方に行けば、そのほとんど実態は、おそらく4割とかそのぐらいになっている可能性があるんです。
  10. 例えば、向こうの理屈としては何が出てくるかというと、依頼度という考え方です。
  11. 仮に基準で100が出ましたというときに、営繕の発注の場合には、インハウスで営繕の中で仕事をしていますという理屈から、依頼度係数というのが出てきて、例えば、中で3割やっていますからベースは70ですよという議論になるのです。
  12. そうすると、基準で100で出てきたものがどうでもなってしまうというところがあって、しかも3割なり4割はインハウスでやっていますというと、報酬額だけの問題ではなくて、実は設計工事に対しても公共発注側に理不尽な条件を押しつけられてしまう場合が少なくないのです。
  13. 我々が実際にまじめに、誠実に仕事をしろと言われたときに、6カ月は絶対要るというのを例えば半分でやりなさいというようなことも、現実にはあるんですよ。
  14. 公共発注者は企画をする段階までは相当時間をかけているから、あとは、単年度でそれを処理するためには、例えば、2カ月しか設計の余裕がないという事態が起きるんですね。
  15. そういう実態が公共発注の中でもありますから、実質の業務内容を踏まえたこういうベンチマークがあるというのは、いろいろと働きかけるという意味では我々としても大変助かると思います。
  16. 我々団体としても各地域でそういうことを公共発注側にも十分な説明をしていきたいと思いますけれども、その差があまりにも大きいということで、かなり絶望的な感じにもなっています。
  17. 何かその辺についてもう少し誘導改善していくような仕掛けというのはないのか、あるのか、もしお話ししていただければいただきたい。

【事務局】

  1. 実態調査は年明けからスタートいたしますけれども、当然きょうお示しした案にあったような標準業務を前提にしてどれだけ本当に業務量があるのかと、それをあぶり出せば当然今実際にフィーとして得ているものとの対比が出てくるわけで、それによって乖離の状況が明らかになると。
  2. 最終的に1206号の見直しをするわけですけれども、それを建築主サイド、これは公共発注も含めた建築主サイドに丁寧にその情報を提供していくというのが私ども建築行政の役割かと思っています。
  3. それをどういうふうに普及していくかということに関しては、やはり設計関係団体を中心とした、闘っていくとおっしゃいましたけれども、そうした取り組みに私どもとしては期待をせざるを得ないと。
  4. 私どもの役割としては、やはり丁寧な情報提供ということ、もちろんその前提として1206号をわかりやすくつくるということ、そういうことだと思っております。