住宅?それとも旅館?

マンスリーマンション−住宅?それとも旅館?/グレーゾーン悪用、指針で指導

  1. 比較的安価な中長期滞在施設としての人気が高まっているマンスリーマンション。
  2. 東京都内でも不動産業者の市場参入などで増加傾向にあるが、旅館とも賃貸住宅とも解釈できるあいまいな性格が新たな問題も生んでいる。
  3. 自治体のワンルームマンション規制の抜け道として旅館業の許可を利用したり、逆に旅館業法に基づく監督・規制や用途地域による旅館の建設規制を逃れるために「マンション」として建設し、実際はホテルと同様に使っていたりするケースだ。
  4. 本来、旅館と住宅は▽生活の本拠としているか▽寝具の維持管理を誰がするか―の2点で区別されるが、この基準だけでは、同じ設備を持つ建物を旅館、住宅のどちらとしても運営できる。
  5. 特に、00年に定期借家法が施行され、1年未満の定期借家契約を結べるようになったことで、長期滞在用の旅館と短期の賃貸住宅の実態はほぼ同じになった。
  6. 実際、マンスリーマンションはもともと旅館として運営されていたが、同法施行後は不動産業者の参入が増えているという。
  7. 「旅館業の設備基準で建設の許可を取ったのに、完成したら『マンスリーマンション』として貸し出されている物件もある」。台東区生活衛生課の担当者がそんな実態を明かす。
  8. 旅館業法施行令の構造設備基準では、1室の床面積は洋室の場合9平方メートル以上とされている。これは同区のマンション条例が定める最低住戸専用面積(25平方メートル以上)の半分以下。
  9. 旅館業の基準には家族向け住戸や駐輪場の付置義務もない。
  10. 逆に、マンションだとすれば、用途地域の規制で本来は旅館を建てられない地域に建設が可能になるケースもある。
  11. マンションなら、旅館と違って衛生管理面の制約も少ない。
  12. マンスリーマンションを手掛ける業者は旅館業の許可も取得していることが多いため、「マンション条例の抜け道として旅館業、旅館業の規制逃れのためにマンションと使い分ける業者がいる」(台東区建築課)とみられる。
  13. 現在、都心部自治体でマンスリーマンションの規制や指針作りをしているのは渋谷、台東の両区だ。
  14. 「区が国の法律や都の条例よりも厳しい基準を作るのは難しい。もっと厳しい、はっきりと区分できる基準を都が作ってほしい」(台東区生活衛生課)という声も上がっている。