住宅投資と企業の建築投資の減少を主因に

《 2008年度見通し 》調整色が深まるわが国経済:ニュースリリース|日本総研

  1. 2007年夏ごろから、a.米サブプライム問題、b.原油など一次産品価格の高騰、c.建築基準法改正による建築着工の大幅減少、といったマイナス要因が台頭し、景気の下振れ圧力が強まりつつある状況。

建築着工の減少が、以下の3ルートを通じて景気にマイナス影響。

  1. 住宅投資の大幅減少。
  2. 企業の建築投資が減少。工場の着工減により、機械受注も減少する恐れ。
  3. 耐久財の購入減、建設関連産業の業績悪化に伴う所得環境の悪化により、個人消費が下振れ。
  1. 2007年度下期は、住宅投資と企業の建築投資の減少を主因に、景気に調整色が強まる見込み。企業収益・雇用者報酬も前年比減少に転じる公算。この結果、2007年度の成長率は、政府・日本銀行の見通しを大きく下回る1.0%に。
  2. 2008年度入り後は、建築着工が回復するという前提に立てば、2008年夏ごろにかけ住宅投資、企業の建築投資の増勢が強まり、成長率を押し上げる見通し。
  3. 2008年度の成長率も2.2%と堅調な数値に回復。
  4. ただし、2008年度の堅調さは、大幅に落ち込んだ水準からの「揺り戻し」にすぎず、ポジティブに捉えるべき動きとはみなせず。建築投資のペントアップ・デマンドを除外した成長率には脆弱さが残る見込み。