感情は思考を停止させる
- 2009年5月までに開始予定の裁判員制度
- 刑事事件の中の凶悪事件(死刑無期及び短期1年以上の故意犯で死の結果となったものなど)に限定して裁判員制度を導入する
- 全体の2.9%。膨大な事件の中の刑事事件というほんのわずかの事件の、しかもその中の死刑や無期とされている事件に限られている事件に裁判員制度を導入しようとしている
- 導入するのは1審だけ
- 1審で変な判決を出せば高裁で職業裁判官が引っくり返すことができる
- 気に入らない判決があれば検察官は控訴をすることができ
- 民意が通るという保障のないものに制度が導入された
- 現在、裁判は合議制といって3人の裁判官でやっていますが、裁判員制度が導入されると、そこに6人の市民が入って合計9人で裁判をやることになります
- 1つの裁判に50〜100人の裁判候補者が選ばれ
- 候補者は出頭を求められ、思想や行状を調べられ、裁判員に相応しいかどうか審査する
- 10年間だと60分の1〜30分の1の割合で裁判員に当たっていく
- 判決は多数決で、9人の過半数(但し、多数意見に裁判官1人以上の賛成が必要)
- コンピューターを使って抽選し、50〜100名を選び、その人たちにいきなり呼出状がくる
- 呼出状には出頭する日時、場所が記され、さらに質問状が同封されている
- 質問に虚偽の記載をしてはならない、となっており、虚偽の記載をしたときは罰則が科せられる
- 質問状が個人の思想信条の自由を認めない内容になっている
- 裁判所は質問をすることができるとなっており、質問に正当な理由なく答えを拒んだり、虚偽の答えをしてはならない
- 裁判所は裁判員候補者としての資格を有するかどうか照会をすることができるため、この段階でプライバシーが暴かれる
- 裁判の日は出席が義務付けられ、評決にも出席して意見を言わなければならない
- 死刑判決がいやだとか、判決を出したくないということは許されない
- 評決が出たあとも、だれが裁判員であったか、どのような議論があったか、数字はどうであったか、それらについて一切秘密を守らなければならない
- 秘密を漏らしたら、6ヶ月以下の懲役、または50万以下の罰金が科せられる
- 呼出状がきた裁判員候補者が出頭しなければ10万円以下の過料がせられ
- 裁判官の質問に答えなかったり、嘘を言ったときは50万円以下の罰金が科せられる
- 裁判を開く前に弁護士と裁判官と検察官が一堂に会し、検察官と弁護士が互いの手のうちを出し合う
- 互いの主張や証拠を用意して、裁判でやることを厳選する
- 裁判のほとんどの部分が密室の中で裁判官と検察官と弁護士の間で成されていくことになるだけでなく、公正な裁判ができなくなる
- 弁護士の場合、そこで提出することを表明しなかった証拠については後に提出することができない
- いまの刑事訴訟はすべての証拠は検察官が握っており、弁護士は検察官の開示した証拠しかない中でスタートしていくため、主張すべきことを主張し、立証すべきだと言われても、主張の欠陥や間違いを弁護人は見つけることができない
- また、この場に被告人を呼び出すことができる
- 自白調書について争うような場合、裁判官に「本当に争うの?」と聞かれたとき、被告人は自分を裁く人間の心象を悪くするような返事ができるだろうか
- 無罪推定の原則はとんでしまった
- 当事者対等の原則もとんでしまった
- 弁護人の充分な弁護を受ける機会も奪われてしまった
- 背景にアメリカの要求による規制緩和があり、その一環として司法の規制緩和がありました
- (裁判に)世論を導入するということである
- 「つまり、君たちは国民であってはいけない。国家の構成要因である。自ら能動的に統治参加せよということである」
- 国家はつねに国民の権利を侵害する
- 国家権力の濫用を止めるのが司法
- 裁判員制度の導入によって司法を国民に近づけ、正当性を主張する。治安維持法と同じ。
- 世論を醸成し、その醸成された世論で叩く
- 国民が義務を課され、国家権力の行使に動員される法律というのはどこにもない
- 自衛隊員も警察官もみんな選択。義務じゃない。
- 軍人でも世界で徴兵制をとっている国は少ない。
- 一方で義務を課せながら、一方では選民意識を植えつける。
- 煽動された裁判が行われることによって、法廷は感情の場となり、憎しみと報復の実現する場になる
- 被害者参加の裁判で、被害者は検察と同じように質問することができる。検察官と別に求刑もできる。
- 感情が法廷を支配する。
- 感情は思考を停止させる。
- 感情に反対尋問はない。
- 事実は反対尋問を経て真実となる。
- 司法はリンチの場になる。