職場に経験豊富な技術者が少なくなり|美浜線鉄塔事故

技術者の採用が途切れたり、後継者を育てる余裕や仕事が無かったり、技術の継承の断絶は各方面で進んでいるように思う。
マニュアルでは伝わらない事も多い。

プレスリリース -美浜線No.21鉄塔事故に関する電気関係事故報告の提出について- [関西電力]
【推定原因】

  1. 社内規則に基づき工事設計業務が進められたが、当該既設鉄塔の強度には余裕があるとの判断のもと、強度計算が行われなかった。
  2. また、工事設計審査では、今回の工事が一般的な工法であったこと、新鉄塔の荷重条件についての議論が中心となったことから、既設鉄塔の強度について審査されることがなかった。
  3. これらのことから、工事中の片側架線状態において一部の鉄塔部材の強度が不足していることを認識できず、必要な対策がとられなかったため鉄塔の損壊につながったものと推定した。

背景となる重要要因
<強度計算について>

  1. 設計に関する社内規則には、工事中に片側架線状態となる場合の強度計算の必要性を明確には記載していなかった
  2. 過去の同種工事において鉄塔損壊はなく、強度計算の結果、部材補強が必要となったケースも少なかったことから、リスクの大きさに気づかず、工事中の状態の強度計算を規則上明確にはしてこなかった

<工事設計審査について>

  1. 工事設計審査に関する社内規則では、審議項目等について詳細には決めていなかった

<上記に共通する要因>

  1. 近年の大型工事の減少により、職場に経験豊富な技術者が少なくなり、設計者が日常的にアドバイスを受ける機会等が減少した

【再発防止対策】

  1. 工事中の状態の鉄塔強度を必ず計算するよう、社内規則を改正する+工事設計審査に関する実施方法を詳細に決め、社内規則を改正する+当社と協力会社間で潜在的なリスクに関する意思疎通を充実する
  2. 工事全般にわたる潜在的リスクを改めて抽出、再評価し、改善活動を継続的に実施する
  3. 送電工事設計者の技術力のさらなる向上を図る