外装仕上材の剥落が生じる可能性は否定できない

報道発表資料:六会(むつあい)コンクリート(株)が出荷したJIS規格に適合しないレディーミクストコンクリートの使用による建築基準法違反の調査状況及び対応について - 国土交通省 より抜粋
▼結論

  1. 現在、発生しているPO の個数や規模、ならびに促進試験結果等から推察すると、今回のPO が建築物の構造耐力等に関する安全性(第三者安全性を除く)や耐久性に大きな支障を及ぼす可能性は少ないと考えられる。
  2. 溶融スラグ骨材を用いたコンクリートの使用部位においては、現在、PO が発生していなくても、今後、PO が発生する可能性もある
  3. また、PO が終了する時期や終了する可能性について、短期間の検証だけで結論付けるのは、現状では困難である
  4. しかし、PO の発生状況ならびに推察される今後の発生状況によれば、対象となる建築物の継続使用は十分に可能であると判断される。
  5. ただし、外壁等の剥落防止対策やPOの経過観察(想定した数や規模や劣化の程度の経時変化)を実施することが必要であると考えられる。
  6. このため、剥落防止対策を講じる際には、PO 発生による表層コンクリートや仕上げ等の剥落・剥落による第三者安全性を十分に確保されるように、適切な材料および工法の選定と適切な経過観察の方法を定める必要がある。

▼継続検討課題

  1. 本中間報告以降の検討課題として、中間報告での結論の根拠資料の補強及び外壁、外装材の剥落防止のための措置の評価方法等について、WG に引き続き調査を求め、その結果について審議・検討することとしている。

溶融スラグ骨材が使用されたコンクリートにおけるPO 発生状況

  1. 溶融スラグ骨材が使用されたコンクリートの打設から4〜6 ヶ月後にPO が発生し始めている。
  2. PO 発生数は、部位により差異はあるものの、材齢(時間の経過)に伴って現在も増加傾向にある。
  3. 極めて少数であるが直径80mm 程度に及ぶ大きさのPO もあり、このような比較的大きなPO 片の剥落ならびにそれに付着したタイル等の外装仕上材の剥落が生じる可能性は否定できない
  4. PO 核の化学成分分析結果より、今回のPO 発生は、溶融スラグ骨材に含有される、あるいは溶融スラグ骨材に混入した生石灰の水和反応による体積膨張に起因するとほぼ断定される。なお、金属アルミニウムの反応に起因するPO の存在は確認されていない。

▼PO が鉄筋コンクリート建築物の安全性に及ぼす影響について

  1. コアならびにコアをスライスした試験体のオートクレーブ養生による促進試験結果から、コンクリート表面の単位面積あたりのPO 発生数は、最大でも10 個/m2 程度であると推察される。
  2. なお、促進試験においてPO に起因したひび割れや膨張は認められなかった
  3. 促進試験結果から推察すると、今後PO により鉄筋コンクリート部材の安全性や耐久性が著しく低下する可能性は小さいと考えられる。
  4. なお、促進試験より、現在PO が確認されていない部位についても、今後PO が発生する可能性があることが示唆された