違法行為をしているわけではない

トナミ運輸川崎支店増築工事 市、調停勧告不受諾を公表 『誤解招き遺憾』と同社

  1. 運送大手トナミ運輸の川崎支店(川崎市高津区溝口五)の増築工事をめぐり、市は建築等紛争調整条例に基づき、同社が住民との調停の勧告に応じなかったことを「正当な理由がない」として、事業名や事業者名などの「事実公表」をした
  2. 市が建築紛争で「事実公表」をしたのは初めて
  3. 同社は「法律に基づいて建築を進めていて、違法行為をしているわけではない。事実公表は誤解を招く恐れがあり、極めて遺憾。弁護士と対応を協議する」
  4. 同支店は新二子橋近くの国道246号沿いにあり、敷地南側は住宅街。
  5. 増築計画は住宅街に面していた社員寮三棟を壊し、四階建て倉庫(高さ約二十メートル、横約百八メートル、幅約二十七メートル)を建設し、屋上に従業員用駐車場(約百台)を設置する内容。
  6. 二月に着工。
  7. 同社は環境に配慮し壁面緑化などを実施するとしている。
  8. 周辺住民グループは昨年九月、駐車場設置などによる大気環境の悪化などを懸念。計画の見直しを求め、市に条例に基づき調停を申請した。
  9. 市は十月に調停の受諾勧告をしたが、同社は調停に応じないと回答。
  10. 市は十二月、調停に応じない正当な理由がないとして、事実公表の実施を通知。
  11. さらに市は六月二十三日に、七月八日付で公表すると通知した。
  12. これに対し、同社は六月二十六日、事実公表の差し止めを求める仮処分を横浜地裁に申し立てた。
  13. 同地裁は七月四日、「処分性がない」と申し立てを却下したため市は八日、市役所などで公告した。
  14. 工事をめぐっては、周辺住民グループが市に同社との協議経過に関する公文書の開示を請求。
  15. 一方、同社は市に非開示を求める訴訟を二月に横浜地裁に起こし、係争中。
  16. 市まちづくり局は「トナミ運輸との交渉内容は、情報公開の訴訟で争っており、正当な理由がないと判断したことなどについても説明できない。公表は条例に基づいた手続きで粛々と行った」