最終的には刑事告発も辞さない
- 3人が死亡したソープランド「江戸城」の火事をめぐり、札幌市消防局は1日、同業の全39軒へ実施した立ち入り検査の結果を公表した。
- 消防法違反を起こしている店は全体の8割に及び、「防災管理のあり方」どころか、そもそも火災報知機を設置していない店も発見されたという。
- 同局は今後、ソープランド以外の性風俗店にも立ち入り検査を実施する方針だ。
- 検査結果によると、最も違反が多かったのが「消防訓練の未報告」だった。
- 39店中38店が避難や防火の訓練を義務付けられ、実施前には同局に届け出が必要だが、全体の76%にあたる29店が怠っていた。
- 同局は大半の店がそもそも訓練自体をしていなかったとみている。
- 防火管理者を選任していない店は9店、消防計画をつくっていない店は13店あった。
- 検査では、火災報知機自体を全く設置していない店が1店あることがわかった。
- 避難誘導灯を設置していなかったり、あっても非常口付近になかったりした店も9店あったという。
- 同局によると、「江戸城」へは最近の6年間で5回立ち入り検査を実施。その都度違反を指摘したというが、改善報告の提出を促したのは電話による2〜3回だけで、罰則を伴う是正命令は発動していなかった。上田文雄市長も記者会見で対応の不備を認めている。
- 同局はこの反省に立ち、今回の検査で違反が確認された31店には「徹底改善」を求める構えだ。期限を定めて是正を求める警告を近く発令。それでも無視すれば是正命令を出して店名と違反内容を公表し、違反店であることが分かるようにA3判の標識を店の出入り口に掲示するという。最終的には刑事告発も辞さないとしている。
- 同庁によると、風俗店は避難経路が階段など1カ所しかないケースが多い。このため火災時に煙が階段を伝って広がり、上階の人が一酸化炭素中毒に陥る可能性も高くなるという。
札幌・ススキノの風俗店火災:消防法違反8割 札幌市が立ち入り検査
- 改善命令に従わなければ、施設の使用停止命令も検討する。
- 火災のあった「江戸城」で、火災報知設備の電源が切られていたことも札幌中央署などの調べで分かった。ススキノの風俗店では、湯気などで熱感知器が作動するのを嫌い、スイッチをあらかじめ切っている店舗が多い。同店では火災報知機の電源は1階で管理していたが、出火当時は切られた状態だった。
- 4階防火扉が閉まらなかったことも明らかになっているが、扉は火災報知機に連動して閉まる仕組みだったことも判明。火災報知機が作動しなかったことで、扉も閉まらなかった可能性が高まっている。
- 店関係者は「1階にあった報知機の電源は日常的に入っていなかった」
- 延焼を防ぐはずの各階の防火扉のそばには装飾物が置かれて邪魔をし、火事の際も作動していなかったという。
- 各階には熱や煙を感知する火災報知機が設置されていたが、出火当時、電源が入っていなかったことがわかった。ソープランドでは風呂の熱などを感知して作動するのを嫌い、普段から電源を入れない店が少なくないという。
- 店内は出火直後、ブレーカーが作動して真っ暗になったといい、非常用電源が作動しなかった可能性が高い。
- 火災報知機や避難誘導灯を設けていない店もあった
- 冷蔵庫付近が激しく焼けていたことが判明、同署などは漏電の可能性が高いとみている。
- 同店は数年前から、電気配線によるトラブルでブレーカーがたびたび作動していたことも判明。道警は今回の火災は漏電の可能性があるとみており、出火原因との関連を調べている。